イル・ド・フランス 東敬司 必要な重さ 料理らしい料理が懐しい
[フランス料理]
黒部徹 *撮影
中央公論社 / シェフ・シリーズ40号
1990.2 初版 / 30×21 / 144p
ソフトカバー
[ 商品番号 N゜sf1-40 ]
sorry... sold out
1984年より、東京は六本木(→表参道)の 「イル・ド・フランス」シェフを14年間務められ、 その後、六本木アークヒルズ「ル・コンセール」シェフに就任、2004年3月には代官山に 路地裏のビストロ「シェ・アズマ」をオープン、 2005年2月には 千葉県千倉町にフレンチレストラン「カフェ・フロッタン」をオープンされるなど、ご活躍の東敬司さんが、「イル・ド・フランス」時代に上梓された 「シェフ・シリーズ」です。
「イル・ド・フランス」は、1971年創業…アンドレ・パッション氏もシェフを務められた名店で、こちらの御本が上梓された当時は お客さんの7割がフランス人、メートルもフランスの方が務められていたとのことで、店内に入ると フランスに旅したように感じることができるようなお店だったそうです。
そんな フランス的な雰囲気の中で、東敬司シェフが目指されていたのは、“ある種の重さが感じられる”料理らしい料理…後に「シェ・アズマ」のスペシャリテともなる「オニオン・グラタン」を始めとする古典的な懐かしさを感じさせるフランス料理、 “つけ合わせの素材をソースの中に入れて混ぜてしまったり、つけ合わせの野菜をそのままソースとして仕上げたりする”スタイルの 「ソースとつけ合わせを抱擁させたお料理」 etc... !
また、こちらの御本は「フランス料理×ワイン」がメインテーマとなっていて、「ワインに負けないア・ラ・カルト」 という充実のカテゴリーもあるのですが、ルセットが紹介されているお料理全てに 合うワインやシャンパンが紹介されています(ソムリエは鈴木邦士さん*お料理と組み合わせたシャンパン、白ワイン、赤ワインのカタログや、チーズ・ガイドもありますので、どうぞお楽しみに♪)。
他、アンドレ・パッションさんが、料理の師で “カッスーレの王様”と呼ばれるマルセル・エメリック氏より受け継いだ 「イル・ド・フランス」名物カッスーレのお話(ルセットはありません)、
「親父を偲ぶ二つの皿」として、「レストラン・キャッスル」で定期的に催されていた山本直文氏の美食の会で、東シェフの料理の師である 荒田勇作さんが作られたという大掛かりな宴会料理の再現に挑戦されたコーナーも♪
(ちなみに、再現されたお料理は、豚の胃袋と牛の内臓に代えて“親父さん流のやり方”で作られた「スコッチ・ハギス」、仔牛肉、肝臓、豚の背脂を詰めてローストした仔牛の頭の詰めもの ロックフォール・ソース 脳みそのフラン仕立て、舌のボイル、すね骨も添えた仔牛づくしです!* ルセットはありません)
どうぞご堪能ください.:*・゜
- 感じる懐しさ
- オニオン・グラタン
- ブロン牡蠣のフレッシュとグラタン
- すずきの炭火焼き フヌイユ風味
- 岩魚のムニエル アーモンド風味
- ブーダン・ノワール りんご添え マスタード・ソース
- バベット・ステーキ じゃがいものフライ添え
- 鴨のコンフィ じゃがいもと茸のソテー添え
- リ・ダニョーと豚足の煮込み
- トリップ・ア・ラ・モード・カーン
- 牛尾のポ・ト・フー
- ソースとつけ合わせを抱擁させる
- フォワグラのポワレ 春らしい野菜添え
- 仔牛のステーキ ベアルネーズ・ソースがけグラタン
- 鯖のニース風
- 牛フィレ肉の炭火焼き セップ茸と鵞鳥の砂肝のソース ポム・スフレ添え
- あんこうのステーキ 魚介類のソース あん肝添え
- 鴨の首の皮の詰めもの ちりめんキャベツの煮込み添え etc...
- ワインがないと食べづらい ワインに負けないア・ラ・カルト
- オードヴル
- 鴨の白レバーのテリーヌ
- 名古屋コーチンの冷製 オレンジ風味のヴィネグレット・ソース
- 北寄貝のプロヴァンサル
- エスカルゴのラヴィオリ 赤ピーマン入りクリームソース
- ムール貝のファルシ etc...
- 野菜料理
- アンディーヴのブレゼ オレンジ風味
- 野菜のファルシ 7種
- 10種の野菜のテリーヌ 香草ソース
- 魚介料理
- 舌平目のポーピエット
- カナダ産オマールのフリカッセ グリーンピースのピュレとオマールのクーリ・ソース
- かえるとエクルヴィスのソテー アーティチョーク入り
- かさごのポワレ 赤ワインソースとブール・ブラン・ソース
- 魚介類の盛り合わせ スープ・ド・ポワソン
- とらふぐのポワレ 生姜風味のクリームソース
- 貝類のラグー マルセイユ風 etc...
- 肉料理
- 仔羊のパイ包み焼き シャンピニョン・クリーム添え
- 馬肉の3色こしょう風味 ピカント・ソース
- ほろほろ鳥の胸肉のフォワグラとトリュフ詰め ポルト酒のクリームソース
- ロニョン・ド・ヴォーのロースト マスタード入り赤ワインソース 脳みそのガトー添え
- 若兎の詰めもの 赤ワインソース
- うずらのフォワグラ詰め etc...
- ジビエ
- えぞ鹿のカシス風味 根セロリのピュレ添え
- えぞ鹿の脳みそのパン粉焼き ケッパー風味バターソース
- 真鴨のアンフュジョン風味 蜂蜜ソース
- えぞ雷鳥のココット焼き
- 野兎のポワヴラード・ソース エシャロットのコンフィ敷き
- ペルドローのロースト にんにく風味
- デザート
- グリヨットのミルフィーユ オレンジのゼリー添え
- ミントのアイスクリーム入り ペルノーのスフレ
- ノルマンディー風タルト りんごのキャラメル・ソース etc...
- 他、基本のレシピ(エスカルゴ・バター、ドレッシング、ボルドレーズ・ソース、フィユタージュ、仔羊のジュー、フュメ・ド・ポワソン、鶏のフォン・ブラン、フォン・ド・ヴォー、グラス・ド・ヴィアンド、澄ましバター)も参照できます!
The key to the treasure is the treasure
どのような姿であっても、しっかりと作ってある皿なら、世に言う軽い、重いというふたつの比較は当らないと思う。軽すぎればもの足らないし、重すぎるのも現代人には合わない。両方とも“すぎ”ればなので“すぎ”ない限界の到達が面白いかもしれないのである。
料理された料理らしい料理にはある種の重さが感じられる。それは量であり、部分的な濃度かもしれないし、その他諸々の何かであり、それによって料理の印象が強まるといったものなのである。
レストラン料理の流れが、小奇麗で小じんまりしてくるのに較べれば、いまの私の仕事は古典しているのかもしれないが、そんな店が少ないだけ 新・古典(ネオ・クラシック)の皿も、いままた懐しく新鮮に思えてくる。時代を追う料理もあってよいし、ある時代を大切にする料理もあってよく、どちらも 料理された料理らしい姿と内容であって欲しい。近ごろの私は人にも料理にも…必要な重さ…という微妙な頑固さが少しは残っていてもよいのではという気がしている。
巻頭のシェフのご挨拶のページより
Information
出版社品切れ または絶版 となっています >2018年4月現在