ベル・フランス 石神和人 自然で健康な素材が生む <正しい味>の料理
[フランス料理]
シェフ・シリーズ 27号
黒部徹 * 工藤雅夫 *撮影
中央公論社
昭和62年12月初版 / 30×21 / 144p
ソフトカバー
[ 商品番号 N゜sf1-27 ]
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1968年に渡欧、イギリス「サヴォイ・ホテル」、ドイツ「ブライデン・バッハホフ・ホテル」、フランス「ローラン」「タイユヴァン」「オテル・リッツ」などで修業後、1976年に帰国、1978年より「べル・フランス」開店と同時に料理長に就任、その後、フランス創作料理「パライソ」でご活躍の石神和人さんによる「シェフ・シリーズ」!
旬の素材の力が一番に重視されたルセットは、その素材に最も適した調理法、火の通し方がさまざまに工夫されていて、フランス産と日本産の質の違いにも気が配られています。
魚料理に、日本料理に使われる魚がよく登場するのも目を惹き、他、ジビエのお料理も多く、真空調理も活用されています。
また、はじめのご挨拶にもありますが、特に食材に対するこだわり・未来への警鐘は鋭くて、ご自身が贔屓にされていた「緑健」さんの農業についてのコーナーも!
お料理で使われている食材についてのミニコーナーもあります♪
下記で、ほんの一例ですが紹介されているルセットをご紹介していきますね。
どうぞご堪能ください.:*・゜
- 季節のものはその季節に食べるのが自然
- 春
- 白魚のマリネ ライム和え
- うにのフラン
- グリーン・アスパラガスの冷たいポタージュ
- トマトのムース トマト・クーリー添え
- 花クールジェットの詰めもの
- エクルヴィスのスフレ
- メスクラン・サラダ 白レバー添え
- さよりの蒸気蒸し
- 海鱒の芳香ソース
- かさごのマルセイユ風
- 的鯛の白ワイン煮 新野菜添え
- 仔羊のステーキ 花つきタイム添え
- 乳飲み仔羊のロースト 香草風味
- 子鳩の新キャベツ添え
- フレジリア
- 白チーズのムース 苺添え etc...
- 夏
- あいなめのそら豆添え
- きすのベルモットソース
- かわはぎのポワレと肝の菓子仕立て
- エクルヴィスの冷製コンソメ
- あわびのサラダ
- 岩魚の冷製ブイヤベース
- こちの薄切り ヴィネガーとオリーブオイル漬け
- 豚頬肉のゼリー固め
- すずきの網焼き 赤ピーマン・ソース
- いさきのグリエ 森の茸添え
- 仔牛肝臓のキャベツ包み シェリーヴィネガー・ソース
- 鴨胸肉の山桃添え
- 鴨胸肉のブラック・チェリー添え
- 白桃のシャンパン煮
- シャーベットのシンフォニー
- オレンジ風味のガトー etc...
- 秋
- なすのシャルロット
- いとよりのパセリ風味ソース
- うずらの胸肉 野生茸風味ソース
- 秋鮭の皮焼き
- 鰯のエスカベーシュ
- 尾長の甘酸っぱいソース
- かれいの詰めもの 車海老添え
- 野生茸のお菓子仕立て
- オマール海老の野生しめじ添え
- 仔羊もも肉のロースト 白いんげん豆のピュレ添え
- 牛ヒレのコンソメ煮
- かぼちゃのムース
- 洋梨の白ワイン煮 赤ワインのサバイヨン添え etc...
- 冬
- ずわい蟹のサラダ 蟹味噌のフラン添え
- 冬の野菜のマリネ
- フレッシュ・フォワグラの大根添え
- 甘鯛のポワレ ビーツ添え
- 平目の牡蠣添え
- あんこうのサフラン・ソース
- えぞ鹿ロース肉のソテー 松の実添え
- しぎのコニャック風味ソース
- 小鴨の温かいサラダ くるみ油ドレッシング
- 青首のサルミ
- 山鳩のロースト にんにくのピュレ添え
- りんごの薄焼きタルト
- チョコレート・ムース マルキーズ風 etc...
他、基本のレシピ(フォン・ド・ヴォー、コンソメ、ソース・オマール、クール・ブイヨン、ブーケ・ガルニ、鶏のフォン、仔羊のジュー、鹿のジュー、鴨のフォン、グラス・ド・ポワソン、スープ・ド・ポワソン、くるみ油のヴィネグレット・ソース、フュメ・ド・ポワソン、ヴィネグレット・ソース、シロップ、フィユタージュ、オリーブオイルのヴィネグレット・ソース、子鳩のジュー、野菜のフォン、鳥類の下ごしらえ)も参照できます。
The key to the treasure is the treasure
いま世の中はグルメ時代と言われている。たしかに食べ物は豊富で輸入の食品も増える一方だ。しかし、ほんとうに質の良いものがどれだけあるだろうか。加工食品は添加物だらけであるのにその半分も表示していない。
トマトはシーズンであるのに味も香りもないものが出廻っているし、ピーマンなどはいったいいつから、あのように薄く味もないものになったのだろうか。それでも一般消費者は何の疑問も抱かずにいるのだろうか。
抗生物質浸けになったブロイラーや豚、農薬や除草剤を必要以上に散布されている米、果物、野菜。こんな食べ物を食べていて果して大丈夫なのだろうか。私たちの次の世代、そしてまた次の世代と何の影響もないのだろうか。私は毎日料理を作りながら、これらの疑問にとり囲まれているから<グルメ時代>という言葉にも異和感を持ってしまうのである。
ところで健康な鶏や牛や豚だったら、抵抗力もあるので、飼料にわざわざ抗生物質など入れる必要はないし、健康な野菜や果物も病害虫に侵されにくい。しかも現在、一般の野菜の栄養価が以前より劣っていることは食品分析表でも証明されている。
やはり栄養価の高いものは美味しいのである。私たちは素晴らしい素材があるのならば、当然にそれを選ぶ。どんなに見せかけを良くしても内容が悪ければ美味しくはならない。料理とは見せかけではなく、美味しいか不味いかであると私は思っているが、その分れ道は素材に大いに関係している。ほとんど絶望的な素材が溢れているなかでも、良心に支えられた優れた素材を作り育てているひとたちがいるので、少しは救われた気持ちになる。
(中略)
グルメより前に危ない食品に気づき、排除していくほうが必要かもしれない今日なのである。料理が好きなひとたちに、味から素材へ、そしてほんとうの素材について関心を持っていただきたい。日常、あやしげな食材に平気になってしまっては、フランス料理もグルメも意味がなくなってしまうと思えるのである。そのうえで美味しいものを作ったり、食べたりしたいものだと思っている。
Information
出版社品切れ または絶版 となっています >2018年3月現在