飛ぶ教室

飛ぶ教室

エーリヒ・ケストナー *作
高橋健二 *訳
岩波書店 / ケストナー少年文学全集
1962初版・1990.35刷 / 21×16.5 / 234p
ハードカバー
[ 商品番号 N゜kf8-42 ]
★書影は本体表紙です。

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お話の舞台は、クリスマスが間近に迫った ドイツのギムナジウム…たくさんの少年達が生活する寄宿学校です。

その中でも、特にお話によく登場するのは、クラスのトップで 賢く画才のあるマルチン、タイトルにもなっている作中劇「飛ぶ教室」の作者・ヨーニー、勉強は苦手だけれど、ボクサーになる夢を抱き、いつも 栄養補給を欠かさない( ! ) マチアス、大人っぽい頭脳派・ゼバスチアン、生まれが良く優しいけれど、体が小さくて気が弱いことを気にしているウリー…読まれたことのある方なら、ちょっと名前を聞いただけで、もう難なくお話の中に戻れてしまいますよね!

そして、もちろん忘れてはならないのは、子どもたちを暖かく見守る 正義先生や禁煙先生! …とにかく、一読をお薦めしたい素敵なお話なのです。

まず、お話の最初から引き込まれます。
ケストナー氏が狂言回しとして登場し、物語を書くにあたってのいきさつや状況をユーモアたっぷりに説明したり、お話の趣旨や、作中劇「飛ぶ教室」を書いたヨーニー少年の生い立ちを語ったり…!寄宿学校についての説明もありましたっけ。

“子どもの涙の大きさについて”、そして、勇気とかしこさについての下りは、じーんときます…「かしこさのともなわない勇気は、不法です。勇気のともなわないかしこさは、くだらんものです!」。

お話には、たくさんのクライマックスがあります。
でも、いつでもなにより良いなあと思うのは、思い遣りの心と許しあう心が少年達に備わっていることで、特別なことじゃない雰囲気が素晴らしいのです…☆

心に残る場面はたくさんありますが、やはり 正義先生と禁煙先生の再会の下りは、じんときます。
特に、大好きな2人を引き合わせた マルチンとヨーニーが、2人の再会を見届けた後、ひとことも口をきかずに、 “ことばでは まったくいいあらわせない約束を”するように、ただ 手をにぎりあうところは、すごく大切なことを、そっと心にしまう様子が伝わってきて、しかも その気持ちを分け合えることができる友達がいるということへの感謝も伝わってきて…感動です!

あとはやはり、マルチンの「泣くこと厳禁!」。マルチンは頑張って我慢していましたけれど、こちらが泣けてきます…( ! )。
お母さんとの手紙のやりとりも、涙なくしては読めません。
また、泣くことをずっと我慢していたマルチンが、正義先生に悩みを見抜かれ、ついに泣いてしまうところの描写 「悲しさが少年のうなじをつかまえ、さんざんにゆすぶりました」は、ずっと我慢をしていた事が堰を切ったように流れ出した様子が、ぐっと伝わってきて…。

なお、この物語は章立てが面白くて、村上春樹さんもこの手法を使ってらっしゃいましたが、お話のエピソードが、箇条書きにして列挙されているんです。
全部を読み直すのは大変でも、クリスマスの時期に ちょこっとお気に入りの場面を読み直す時など、とても嬉しいです♪

また、ワルター・トリヤー氏の挿し絵は、子ども時代に馴染んだケストナー作品の印象の強さか、やっぱりしっくりときて懐かしい感じで、柔らかいペンのタッチが、とても心地良くて素敵です。
どうぞご堪能ください.:*・゜

飛ぶ教室
←函の表紙です♪

Information

上記岩波書店以外にも、さまざまな出版社からいろいろな版で上梓されています

ただいま流通中です >2018年4月現在

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