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『花とひみつ』を含む和田誠さんの私家版絵本全7册について
2011年7月に、『がらすのお城』『ちょうちょむすび』『山太郎』『花とひみつ』『しりとり』『すすめチーター』『17のこもりうた』の私家版7册が復刊ドットコムより完全復刻されました!
ボックスセット仕様で、和田誠さんによる 16P書きおろしエッセイ小冊子「ぼくの私家版絵本時代」付きです!
「和田誠 私家版絵本ボックス」は、ただいま流通中です >2018年4月現在
星新一 *作
和田誠 *絵
私家版 / 限定版400部
1964.9 初版 / 19×13.5 / 32p
ハードカバー
[ 商品番号 N゜kf23-10-1 ]
和田誠さんが、驚くべき多彩な方面に渡ってフリーで華々しく活躍される以前、ライトパブリシティというデザイン会社にお勤めだった頃に、自費出版で私家版絵本を創ってらっしゃったことをご存知でしょうか♪
eclipse plus がこれまでに調べたところ、私家版絵本は7册!プラス、お勤めだったライトパブリシティが発行元となったタイトルが2册あるようで、合計9册が上梓されているようです。
刊行順にタイトルを見ていくと…
テキストを担当されている方々が華やかで、かつユニークですよね!
それぞれに、どんな1册だったのだろうと想像が膨らみます~*
こちらは、そんな和田誠さんの私家版絵本の中でも春らしいタイトル、4册目にあたる『花とひみつ』(1964) です。
『花とひみつ』は、1964年、文章を星新一さんに依頼して生まれた1册です。
和田誠さんと星新一さんのそもそもの出逢いは、雑誌で、星さんが初めて子ども向けに書いたショートショート「あーんあーん」の挿絵を和田さんが担当したご縁とのこと。
その後、和田さんは、私家版絵本用にもう1作子ども向けショートショートを書いてもらえないかと、星さんが蒐集されていた孤島がテーマのひとコマ漫画を描き携えて依頼に出掛けられたそうです。この辺りの経緯は、まさにドキドキしてしまうエピソード満載の和田さんのエッセイ『銀座界隈ドキドキの日々』に詳しいですので、どうぞご覧になってみてくださいね。
そして上梓された『花とひみつ』が新聞で紹介され、“それがきっかけとなったわけだろう”と星さんは「月刊絵本 特集・和田誠の世界」で振り返ってらっしゃいますが、それ以来、星新一さんの本の装幀・挿絵におけるお2人の名コンビぶりは、ご記憶に鮮明な方も多いのではないでしょうか!
『花とひみつ』のお話は、その後、星新一さんの代表的な1册『きまぐれロボット』に収められていますし、教科書にも掲載されたとのことなので、読まれている方も多いかもしれませんね。
星新一さんご自身も“わりと気楽に書けた。いまでも気に入っている作品である”と、同じく「月刊絵本」で振り返ってらっしゃいます。
↓こんなお話です
ハナコちゃんは、花が大好きな女の子♪
いつも、世界中が花でいっぱいになればいいな~と想っていました。
ある日、花の絵を描いていたハナコちゃんは、花の世話をしてくれるようにモグラを馴らすことができたらどんなに面白いだろう…と思いつき、モグラの絵を描きますが、突然の風で、せっかく描いた絵は空の彼方に~。
風に乗って、また、カモメに運ばれて、絵が辿り着いたのは、海に浮かぶ小さな島に作られた“ひみつの研究所”。
絵を見た研究所の人々は、本国から送られてきた命令書と思い込んで、ロボットのモグラを作るため研究を重ね、ついに開発に成功しますが…。
完成した研究を見た本国の大臣は、勘違いで作られたモグラに、くだらないと怒り心頭!研究所は取り壊しになってしまいます。
でも、その後も残されたロボットのモグラたちは働き続け、小さな島を花でいっぱいにすると、新たな土地を目指して旅立っていって~*
…どこかで、まだモグラたちが黙々と花の世話をしているかもしれない…
星新一さんならではの権威への諷刺が小気味よくぴりっと効いていて、それでいて夢もあって!
読み終わった後、なんとも愉しい気分になる洒脱なお話です♪
もちろん、和田誠さんのイラストも、お話に合ってとっても素敵!
1964年に上梓された私家版は、ペン画に、ブルーとオレンジの2色刷りで彩色されています。(2色が重なっている部分は鶯色になっているので、実際は3色です。表紙のイラストの鶯色にもご注目♪色調のハーモニーが、落ち着いた雰囲気を醸し出していて脱帽です!ちなみに、見返しは土を想わせるような明るめの茶色ですよ)
シンプルでグラフィカルなタッチが、さすがな感じで、とっても素敵!
大人っぽくて洒脱で、でもどこか飄々とした可愛らしいユーモアが感じられる和田誠さんの作風が堪能できます。モグラの表情も、とってもかわいい…☆
小さな版型も、“ひみつ”のお話に合っていますね♪
ちなみに…
『花とひみつ』は、1970年に「花ともぐら」というタイトルで人形アニメーション化されているとのこと!
監督・脚本は岡本忠成氏で、岸田今日子さんがナレーションを担当♪
わずか15分の作品とのことですが、第22回ベネチア国際映画祭銀賞、1970東京都教育映画コンクール・金賞と、受賞歴も華々しい佳品のようです~*
*参考図書
『銀座界隈ドキドキの日々』和田誠*著/文藝春秋/1993,1997文庫化
「月刊絵本 特集・和田誠の世界」すばる書房/昭和53年1月
『きまぐれロボット』星新一*著、和田誠*絵/理論社/2005
上記はBookroom☆Pip Pup Giiの頃のコラムより一部変更して転載しました。
私家版のイラストです♪
『花とひみつ』を含む和田誠さんの私家版絵本全7册について
2011年7月に、『がらすのお城』『ちょうちょむすび』『山太郎』『花とひみつ』『しりとり』『すすめチーター』『17のこもりうた』の私家版7册が復刊ドットコムより完全復刻されました!
ボックスセット仕様で、和田誠さんによる 16P書きおろしエッセイ小冊子「ぼくの私家版絵本時代」付きです!
「和田誠 私家版絵本ボックス」は、ただいま流通中です >2018年4月現在
星新一 *作
和田誠 *絵
フレーベル館 / おはなしえほんベストセレクション
2001.1 初版 / 26×21 / 30p
ソフトカバー
[ 商品番号 N゜kf23-10-2 ]
フレーベル館版は、1964年の私家版を、2001年に新たな形で刊行した1册。「月刊絵本」の形で上梓されています。
タイトルのデザイン、また、絵の構図は似ているページが多いですが、絵のタッチは全く違う趣き☆
たくさんの色が使われて、より華やかで可愛らしい雰囲気です♪
フレーベル館版のイラストです♪
『はなとひみつ』は、2009年5月にフレーベル館よりハードカバー化され 復刊されましたが、出版社品切れ または絶版 となっています >2018年4月現在
「カフェエイト」さん *著
『VEGE BOOK 3』から…ゴールデンデリシャスと赤ワインのジェラートを作ってみました♪