食と暮らしの古本屋 eclipse plus

―‘わたし’が、大切に思うこと、大切にしたいことってなんだろう―

むかし、むかし、ひとりの王様がいました。
とても小さな王様です。小さな王様は、チューリップの球根をそこかしこに植えて、小さな国を、花でいっぱいにしました。でも、なんだか、ものたりません。

なにが足りないのかを、一所懸命に考えます。
…そうか！わかったぞ、お姫様だ！早速、お姫様を捜す旅に出た小さな王様、見つけることはできるのでしょうか！！

“色彩の魔術師”と呼ばれるチェコの絵本作家パツォウスカーさんの１册です。
デフォルメされた独特の造形で描かれたユニークな絵は、コラージュの手法の多用も相まって、子どもの絵のような自由で伸びやかな楽しさ！でも、雑然とした感じは全くなくて、洗練された落ち着きを感じます。
そして、単純に、かわいい・きれいというよりは、もっと感情の奥深くを刺激されるような、理性では完全に理解できない生まれ持った感覚を揺さぶられるような、そんな圧倒的なパワーもあって…本当に希有な作家さんです.:*・゜

自分にとって大切にしたいことをよくよく考えて、分かったらすぐに行動に移して実現した小さな王様のパワー、そして恋や愛にともなって湧き出るパワー、いずれも目には見えない精神的な力だけれど、パツォウスカーさんの作風によって本当に見事に表現されている奇跡的な１册。
眺めていると、元気に、前向きな気持ちになってきます！

チューリップのお花とハートマークが、ページのそこかしこいっぱいにちりばめられているのも、とっても春らしい１册です。

なお、こちらの本は、本の中央に小さな四角い窓がある仕掛け絵本となっています。小さな窓から小さな王様の顔がのぞいているところなど、とても可愛いですし、単純に可愛いという以上に、また深読みをしてしまうのは、きっと私だけではないはず☆

素晴らしい１册です。読み返すたびに深くなっていく感じを、どうぞご堪能ください.:*・゜

『小さな花の王様』 のドイツ語バージョンです♪

日本語版に比べると、ちいさな版となっていて、パワーを感じる赤に彩られた表紙の御本が、白い函に収められています。
ただいま日本語版が手元になく、内容を比べることができなくて申し訳ないのですが、装幀や版型が異なるだけで、また御本の雰囲気までもが　がらっと変わるようで、興味深いです！綴じ糸が赤色だったり、函や本の装幀が銀色でおめかしされているのもお洒落です♪
どうぞご堪能ください.:*・゜

函の表紙です♪

函の裏表紙です♪
函にも、中央に仕掛けの穴が空いています♪