弓田亨のフランス菓子

弓田亨のフランス菓子

弓田亨 *著
吉田篤史 *撮影
山本渉子 *デザイン
日本放送出版協会
2002 初版・2005.4刷 / 26.5×20.5 / 176p
ハードカバー
[ 商品番号 N゜sf38-8 ]

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1986年開店の代官山のフランス菓子店「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」代表弓田亨さんが、4つの生地でつくる8つのケーキやタルトと、手でつまんで食べる焼き菓子やクッキー8種を、充実のエッセイと共に紹介してくれました♪

こちらの御本の最大の特徴は、1つ1つのルセットに費やされたページ数!
「4つの生地でつくる8つの菓子」は、1つのルセットが 10~18ページ、「手でつまんで食べる菓子」は、1つのルセットが 4~12ページに渡って紹介…3段組みで、上段は縦書きで記されたルセット(1つ1つの工程に詳細な理論やコツが添えられています)、中断は工程写真、下段はエッセイという珍しいレイアウトで、今では珍しくなくなった 1グラム単位の分量表記、分量に合った器具を使用すること、温度管理を徹底すること、混ぜる回数 / 時間 / 混ぜ方 etc... とにかく懇切丁寧な説明に言葉が尽くされています。

また、フランスと日本の素材の違いをしっかりと認識することの大切さ、お菓子屋さんのように大量ではなく 家庭で少量を作るためのもっと単純な技術的な問題など、フランス菓子を日本の家庭で美味しく作るため重ねられてきた試行錯誤が惜しげもなく披露!

エッセイは、
道具編(エキュモワール、ハンドミキサー、ボウル、ストップウォッチ、デジタル式はかり、木べら、温度計、銅鍋、オーブン、はけ、ゴムべら、冷蔵庫、タルトゥ・リング型、泡立て器、ピケローラー、こし器、霧吹き、めん棒、銅製のボウル、絞り袋、デニムの布、ペティナイフ、フェーブ)、
技術編(木べらの混ぜ方「平行楕円と90度/平行直線」、泡立て器の混ぜ方「直線反復/円/すくい上げ」、生地を棒状に丸めるコツ、生地を常温でひと晩休ませる効果、小麦粉とバターのすり合わせ方、泡を消さないように混ぜるエキュモワールの使い方、バターを混ぜるときのハンドミキサーの使い方、パータ・シューの堅さの判断、カスタードクリームの柔らかくなる瞬間の見極め、天気によって変えるフォンダンを溶かす温度)、 他、材料編も詳しいです!

どうぞご堪能ください.:*・゜

  • 4つの生地でつくる8つの菓子
    • 洋なしのババロア
    • ココナッツのムース
    • りんごのタルト
    • チョコレートのタルト
    • レモンのタルト
    • さくらんぼのタルト
    • ミルフイユ
    • 王様のガレット
  • 手でつまんで食べる菓子
    • パウンドケーキ
    • フィナンシェ
    • オレンジのサブレ
    • ココナッツのサブレ
    • アーモンド風味のクッキー
    • チーズ風味のクッキー
    • ダックワーズ
    • コーヒー風味のエクレア

The key to the treasure is the treasure

 前にお話ししたように、本来のおいしさと、頭のおいしさは、もともと完全に重なり合っていました。社会の変化とともに、2つのおいしさは少しずつ離れていったのです。
 この2つは、さまざまな距離と方向を持ちます。今のフランスと日本を見るなら、これらの違いは明白で、フランスでは本来のおいしさと頭のおいしさはさほど乖離せず、お互いを高め合っています。
 でも日本では、まったく別の方向を向き、引き合う要素もなく、さらに大きく離れようとしています。頭のおいしさが本来のおいしさであり、本来のものは、むしろ不快で不自然と考えられているのです。
 不条理なのですが、私たちがおいしいと考えるものを食べると、身体は大きなダメージを受けます。しかしフランスでは、今でも身体が望むものがおいしさなのです。
 日本では、頭のなかに積み重ねられた意味のない価値においしさを感じます。身体がおいしさを選ぶのではなく、時代がおいしさをつくり、私たちに押しつけます。日本人が本当においしいと思っているものが、私の目には無意味な、こじつけにしか見えないものが数多くあります。
 なぜ、このようなおいしさが出現してきたのでしょう。それは日本人がけっして失ってはならないものまでを、経済の法則に蹂躙させてきたという、国民性にあると思うのです。
 たとえ身体によい本来のおいしさであっても、多くの経済的価値がつけ加えられていなければ、おいしさとは見なされません。意味のない価値が積み重ねられ、身体を傷つけるものであっても、この国では正しいおいしさとされるのです。
 たぶん多くの方が、私の考えに奇異なものを感じるでしょう。でも、ちょっと冷静になれば、ねじ曲げられたおいしさがほとんどで、本来のおいしさは例外的になったことに気づき、慄然とさせられるはずです。

Information

『NHK 男の食彩』テキスト1999年4月号~2002年3月号に連載された「男の菓子道」が再編集された御本です。

<正誤表>
◆116ページ
パッションのムースのムラング・イタリエンヌ材料

16g パッションフルーツのジュース
36g 卵白
60g グラニュー糖
3g 乾燥卵白

18g パッションフルーツのジュース
53g グラニュー糖
30g 卵白
5g グラニュー糖
3g 乾燥卵白
◆117ページ
シロップは、53gのグラニュー糖と18gのパッションジュースを119度まで煮詰めます
◆131ページ
誤 速度1番 → 正 速度2番
◆132ページ
誤 安定剤 0.1g → 正 安定剤 1g

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