大草原の『小さな家の料理の本』 ローラ・インガルス一家の物語から
バーバラ・M. ウォーカー *文
ガース・ウィリアムズ *絵
本間千枝子 * こだまともこ *共訳
石黒紀夫 *装丁
文化出版局
1980年12月初版 / 22×16 / 264p
ハードカバー
[ 商品番号 N゜sf11-10 ]
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ライター、グラフィックデザイナーとしてご活躍のバーバラ・M. ウォーカーさんが、「小さな家」シリーズ(Little House books)に登場するお料理を再現…
当時のアメリカ開拓民の家庭の暮らしぶりと共に生き生きと伝えてくれた、単なるお料理本に留まらない読みごたえたっぷりの1册です♪
そもそも、娘さんのアンナちゃんと一緒に「小さな家」シリーズを愉しむうちに、親子共にどんどんその世界に惹き込まれて、物語に登場するお料理を作り始めたのがきっかけとのこと!
この御本で披露してくれたレシピはなんと103種で、物語の中に少しだけ登場するようなお料理については、ローラ・インガルスさん他関係者の伝記や、開拓者の日記、その土地のレシピ集、当時の料理書まで参照されたという熱中ぶりです!
“ローラやアルマンゾが胸をときめかせて食べたものに少しでも近いものをこしらえ、味わってみることを目的”に、“なるべくその当時の材料や作り方で作り、歴史がもたらす味の移り変わりまで知ることができるよう”編まれていて、“味よりも、歴史的な意味のほうが重要な料理もあります”とある通り、美味しく今風にアレンジされたレシピではなく、当時の作り方が参照できます♪
レシピには、そのお料理が登場する下りの引用とエッセイが添えられているのが嬉しいです♪紹介されているお料理は、ほんの一例ですが下記でご紹介していきますね。
エッセイも読みごたえがあり、例えば、当時の開拓民の暮らしとその食卓、台所と料理道具、“田舎の店”で手に入った日用品事情、コーンミールとしたみ脂、野生の動植物の恵み、ジャム・ジェリー・プリザーブ、畑や果樹園からの収穫、パン作り、ピクルス作り、庭先で育てた家畜からの恵み、飲み物とお菓子 etc... 詳しいお話が愉しめます♪
巻末には、注と数量換算表も!
開拓民の暮らしは過酷で、食料という点では今より恵まれていた訳では決してないのに、何故、「小さな家」シリーズに出てくる食べ物があんなに魅力的に思えたのか…その理由がしみじみ分かるような読み心地で、また改めて「小さな家」シリーズを読み返したくなります.:*・゜
モノクロームですが、ガース・ウィリアムズさんのイラストもたくさん彩りを添えていて、物語の世界にぴったり.:*・゜
物語シリーズも御一緒に読み返しながら…どうぞご堪能ください.:*・゜
- 田舎の店の日用品
- 塩づけ豚のいため焼きとグレイビー
- ヘイスティ・プディング
- コーンミールのマッシュのいため焼き
- ジョニイケーキ
- とうもろこしの固焼きパン
- ラードのかす入り とうもろこしパン
- ベークトビーンズ
- 豆がゆ
- かきのスープ
- たらのボール etc...
- 森と野と水辺の食べ物
- 野うさぎのシチューとダンプリング
- 野鴨の丸焼き
- ブラックバードのパイ
- 魚のムニエル
- とうもろこしパンの詰め物をした七面鳥の丸焼き
- クランベリージェリー
- ブルーベリープディング
- ハックルベリーパイ
- 日光を利用したドライフルーツ
- ドライフルーツの煮たもの
- クラブアップルのジェリー
- プラムのプリザーブ
- ハスクトマトのプリザーブ etc...
- 耕作地でできる食べ物
- パンビスケット
- 白い小麦粉のダンプリング(サワーミルク・ビスケット)
- 塩味の発酵パン
- サワー・ドウ・ビスケット
- グラハムパン
- 「長い冬」のパン
- ライ・アン・インジァン(ライ麦ととうもろこしのパン)
- ドーナツ
- スウェーデン風のクラッカー
- パンケーキの人形
- そば粉のパンケーキ etc...
- 野菜畑や果樹園の食べ物
- マッシュポテトとポテトケーキ
- ハッシュ・ブラウン・ポテト
- にんじんのクリーム煮
- 干しとうもろこしとクリーム煮
- パースニップのいためもの
- サコタッシュ
- ハバードかぼちゃの蒸し焼き
- ターニップのマッシュ
- パンプキンパイ
- 青いかぼちゃのパイ
- 二つ折りのアップルパイ
- 鳥の巣プディング
- りんごと玉ねぎのいためもの
- 干しりんごと干しぶどうのパイ
- りんごの芯で作るビネガー
- トマトのプリザーブ
- ビーツのピクルス
- きゅうりのピクルス
- 青いトマトのピクルス etc...
- 農家の庭の食べ物
- オーブンで焼いたスペアリブ
- ホームメード・ソーセージ
- 豚の丸焼き
- ミンスミートとミンスパイ
- ポーチドエッグ
- チキンパイ
- 詰め物をした鶏の丸焼き
- 詰め物をしたがちょうの丸焼き
- バター
- カッテージチーズ・ボール
- ブラウンソースをそえた牡牛のポットロースト etc...
- 飲み物とお菓子
- エッグノッグ
- ジンジャー・ウォーター
- ケンブリック・ティー
- レモネード
- キャンディー・プルのキャンディー
- 雪の上で作る糖みつのキャンディー
- ビネガーパイ
- カスタードパイ
- ハート形のケーキ
- バニティーケーキ
- パウンドケーキ
- ローラのウェディングケーキ
- アイスクリーム
- はぜとうもろこし
- ポップコーン
- ポップコーン・ボール etc...
The key to the treasure is the treasure
この本にのっている料理のすべてが、食卓で大歓迎されるとは、とても思えません。なかには、味よりも、歴史的な意味のほうが重要な料理もあります。でも、私はすべての料理を何らかの形で紹介しました。こういう料理をまとめてのせることが、複雑きわまる現代社会では、ともすればかすんでしまう大切なかかわりあいを再発見する、すばらしい方法だと思ったからです。たとえば、テーブルの上の食べ物と、野の1粒の麦や牧場の牛とのかかわりあい。また、テーブルの食べ物と、だれかの額ににじむ汗とのかかわりあい。冬と干しりんご、夏とトマト、秋と新鮮なソーセージとのかかわりあい。今、私たちが手にすることのできるあふれるばかりの食べ物と、開拓者たちの労働とのかかわりあい。そしてまた、食事を作ることと、愛情あふれる暮らしとのかかわりあい…。
「はじめに」のバーバラ・M. ウォーカーさんの文章のラストより…♪
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