〔暮しの手帖社〕の本たち
「暮しの手帖」は、戦後間もない1946年(昭和21年)、女の人の役に立つ雑誌を作りたいという大橋鎭子さんの志を受け、花森安治さんが共に手掛けた「スタイルブック」が前身…
1948年(昭和23年)9月には、季刊「美しい暮しの手帖」として、第1号が創刊されます。
創刊号のあとがきに、花森さんは、“はげしい風のふく日に、その風のふく方へ、一心に息をつめて歩いてゆくような、お互いに、生きてゆくのが命がけの明け暮れがつづいています。せめて、その日日にちいさな、かすかな灯をともすことが出来たら”…と綴ってらっしゃいますが、その言葉通り、敗戦の混乱で心を置き去りにせざるを得なかった時代に、ありあわせのもので心豊かに暮らす提案が満載で、その功績で、1956年(昭和31年)には第4回菊池寛賞、1958年(昭和33年)には米ペアレンツ社より「ペアレンツ賞」など、数々の賞を受賞されています。
その時代時代の空気感が伝わってくるだけでなく、編集している人の息吹までもが伝わってくるような、“生活者”のための雑誌となっていて(花森さんは、“消費者”という言葉がお好きでなかったようです)、
内容は、第一世紀26号より始まった名物“商品テスト”はもちろんのこと、お料理、住いの工夫や工作、直線裁ちに代表される洋裁や手芸、おしゃれ、健康・医療、子育てなどの実用記事がメインで、他、日本の魅力に迫った紀行記事、日本人の暮しのルポ、エッセイも充実♪
* 商品テストは、43,088枚の食パンを焼きに焼いた自動トースターのテスト(第一世紀 99号)、石油ストーブの消火テスト(第二世紀 28号)など、数々の伝説・功績を残しています!
また、読者参加型の企画・読者からの投稿欄の充実など、読者との距離の近さ・読者からの思い入れの深さも大きな特徴でしょうか♪
すっきりとした見やすいレイアウト、手書き文字が多用された温かみのある見出しや花森さんのかわいらしいカット、「暮しの手帖」ならではの“バタ”や“スパゲチ”などの表記も大きな魅力!
また、広告を載せると圧力が生じて商品の正しい批評や紹介が非常にやりにくくなるという理由から、外部広告を掲載しないというのも、「暮しの手帖」の大きな特徴!
花森さん在りし日の号は、花森さんの文章もとても読み応えがあり、社会の矛盾・理不尽を鋭くえぐる告発文とも言えるような内容の一方で、子どもたちの側に立ったまなざしは優しく、時代を経るにつれて、ますます置き去りにされがちな大事なことが伝わってくるようです.:*・゜
いみじくも「暮しの手帖 300号記念特別号 保存版」に、内館牧子さんが、“「暮しの手帖」は日本の良心”というお言葉を寄せてらっしゃいますが、本当にその通りで、いつまでも、その心を伝えてほしいと願わずにいられません。
なお、「暮しの手帖」は、花森さんの“100号ごとに初心に立ち返る”という方針から、100号ごとに世紀としてまとめられています。
下記では、世紀ごとに、エポックメイキングな出来事をご紹介♪
また、本誌のバックナンバーもご紹介・お届けしております。
単行本や別冊は、下記の本棚にまとめています。
また、連載はこちらにまとめています♪
当時の暮しに想いを馳せながら…
また、今の暮しに鑑み、考え合わせながら…
どうぞご堪能ください!
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これは あなたの手帖です
いろいろのことが ここには書きつけてある
この中の どれか 一つ二つは
すぐ今日 あなたの暮しに役立ち
せめて どれか もう一つ二つは
すぐには役に立たないように見えても
やがて こころの底ふかく沈んで
いつか あなたの暮し方を変えてしまう
そんなふうな
これは あなたの暮しの手帖です
花森安治
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「暮しの手帖」 第一世紀 + 別冊
1948年、季刊「美しい暮しの手帖」として、第1号が創刊♪
22号より、「美しい暮しの手帖」→「暮しの手帖」に変更。
26号より、「日用品をテストした報告」として、後に名物になる“商品テスト”開始!
(第四世紀26号まで続きました)
50号は、表紙見返しに白い封筒が貼ってあり、その中に、50号感謝のお手紙が入っているという素敵な趣向で届けられています♪
96号は、切実な思いを以って、全ページが「戦争中の暮しの記録」の特集に充てられています。
(なお、第一世紀は、製本が簡易で年月も経ている為、ページを大きく開くと、背から外れてしまう場合がございます。両側から両手で支えていただき、ゆっくりと、また、あまり大きく開かずに、ご覧いただければ幸いです)
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「暮しの手帖」 第二世紀
現在の版型に♪(第一世紀はちいさめの雑誌でした)
52号校了の2日後、花森安治さん死去(66歳)
第一世紀1号~第二世紀53号まで、花森さんが表紙を手掛けています。
(暮らしのための雑誌ということで、人物ではなく、暮らしに関わる道具や住いをモチーフにすることが多かった花森さんが、“突如として”人物を描き始めたのは、第二世紀25号から…“戦後、暮らしは豊かになったが、人の心が忘れられてはいまいか。”
…そんな願いが込められていたそうです。ちなみに、花森さんが最後に描いた表紙は52号…ご夫婦でしょうか、幸せそうな二人がカメラの前でポーズをとっています♪53号の表紙は、病気になったら使ってほしいということで、預かっていた表紙画だそうです。)
花森さんを継ぐ第2代編集長は、暮しの手帖社に公募で入社された初めての男性社員で、商品テストのリーダーとしてもご活躍だった宮岸毅さんが努められました。
第二世紀54号~第二世紀100号までの表紙画は、藤城清治さんが手掛けています(藤城清治さんの影絵で彩られた子どものための童話連載も、第一世紀~第二世紀63号まで愉しめます♪ *後に、『お母さんが読んで聞かせるお話』シリーズとして、単行本化もされています)。
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「暮しの手帖」 第三世紀
第三世紀1号~100号までの表紙画は、フランスの画家クレール・アステックスさんが手掛けています。
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「暮しの手帖」 第四世紀
1号より、「暮しの手帖」編集者の尾形道夫さんが第3代編集長に、14号より高野容子さんが第4代編集長に、24号より横山泰子さんが第5代編集長に…
そして、26号より、外部から、古書店「カウブックス」店主で文筆家でもある松浦弥太郎さんを第6代編集長に迎え話題に!
また、80号より、元マガジンハウス編集者の澤田康彦さんが第7代編集長としてご活躍です。
2013年、大橋鎭子さん死去(93歳)
また、2016年前期放送のNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」は、大橋鎭子さんがモデルになり、「暮しの手帖」の創業の軌跡が描かれ、話題となっています♪
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「暮しの手帖」 第五世紀
4号より、2010年より暮しの手帖社に入社された北川史織さんが第8代編集長に就任…“丁寧な暮らしではなくても”と掲げられた表紙にドキッとした方も多かったようですが、「編集者の手帖」と誌面を読んで、ほっとした方もまた多かったのではないでしょうか…♪どうぞご堪能ください.:*・゜
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