言葉はひろがる

言葉はひろがる

鶴見俊輔 *文
佐々木マキ *絵
堀内誠一 *表紙基本デザイン
福音館書店 / たくさんのふしぎ 通巻36号
1988.3 初版 / 25×19 / 40p
ソフトカバー
[ 商品番号 N゜ef28-4 ]

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地球上に、2500種とも、数え方によっては3500種とも言われている“言葉”の不思議について、哲学者の鶴見俊輔さんがさまざまな視点から考え、語りかけてくれる1册です。

人間が言葉を習得する課程の不思議、たくさんの言葉が生まれた不思議と「バベルの塔」の解釈、世界の文字の紹介…。

また、鎖国の時代にスポットを当て、言葉は違っても“相手が人間ならばじぶんの言いたいことが通じるはずだという意気ごみ”を持って世界に挑んだ、ラナルド・マクドナルド氏や、吉田寅次郎(松陰)氏、大黒屋光太夫氏、中浜万次郎(ジョン万次郎)氏の紹介…。それぞれの事情から孤軍奮闘で外国語を習得することになった諸氏の、単語帳や発音の覚え書きなど勉強の跡も紹介されていて、とても興味深く面白く、また、頭が下がります☆

世界がたくさんの言語に分かれている不便を乗り越えるさまざまな試みも紹介されています。
1887年、ポーランドの多言語地域に育った眼科医ザメンホフ氏により一個人の工夫で作られた世界共通の言語・エスペラントを筆頭に、1937年にオーストリアの社会学者オットー・ノイラート氏により作られた“国際絵文字言語”アイソタイプ、1971年に日本の太田幸夫氏により作られた絵文字・ロコス、そして、母国語や年齢の違いを越えて理解できるピクトグラムや標識など。
ジプシーのサイン“ホウボウ・サイン”や、フランスの子ども達がエスペラントを使って合作した絵本など、ユニークな紹介もあって楽しいです!ロコスも、紹介の後に自分で文を作ってみようという欄があって、面白くてついついはまってしまいますよ♪

本当は、同じ地球上で同じように懸命に生きる者同士が心を通わせる助けとなるはずの言葉、でも、時に言葉によって諍いや戦争が助長される悲しい現実があるということが、読み終わった後ひしひしと胸に迫ってきます。
最後のページの、切実な願いが込められた鶴見さんの言葉がまた感動的で、自分の発する言葉を1人1人が大事にすることで、どんなに世界は変わっていくことだろうと想像が拡がります…☆

佐々木マキさんの絵も、言葉の持つ不合理で不可思議なイメージをシュールに引き立てていて…素晴らしい1册となっていますよ。

Information

1991年に傑作集化されていますが、出版社品切れ または絶版 となっています >2018年6月現在

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