チェコ・アニメの巨匠 イジー・トゥルンカ展 子どもの本に向けたまなざし

チェコ・アニメの巨匠 イジー・トゥルンカ展 子どもの本に向けたまなざし

I.D.F.Inc.
2004 / 23×21 / 160p
ソフトカバー
[ 商品番号 N゜ef12-10 ]

sorry... sold out

素晴らしい人形アニメーションを産み出し、「チェコ・アニメの巨匠」として活躍したイジー・トゥルンカさんはまた、数々の本の挿絵や絵画・彫刻を手掛けた芸術家でもありました。
こちらは、30年以上に渡って80以上におよぶ册数を手掛けた本の挿絵――特に子どもに向けた本の挿絵を中心に、「チェコ・アニメの巨匠」の枠を越えた氏の創作世界に迫った展覧会の図録です。

展示作品は、年代順に3章に分けて創作の変遷を辿る構成となっていて、デッサンや習作、試し刷り、また、未掲載、未発行のものまで含む挿絵作品の原画はもちろんのこと、ジオラマや人形、映画の絵コンテ、彫刻まで、とても充実しています!
日本では未刊行のタイトルも多く嬉しいかぎりですが、また、自分のスタイルを追求するよりも、それぞれの本のテキストに適した表現を模索し続けたという氏の表現の多彩さには、感動です.:*・゜

他、トゥルンカさんにゆかりの深い川本喜八郎さんの寄稿や、ブジェチスラフ・ポヤルさんへのインタビューなど貴重な証言や、資料として、時代背景と共に美術史家の立場からトゥルンカさんの芸術世界を考察した「イジー・トゥルンカの作品世界:美術のたわむれ」、また、身辺のエピソードから生涯を辿った「イジー・トゥルンカの生涯」など、文章も充実しています。

特に、トゥルンカさんの長女であるズザナさんのお宅へ伺って、保管されていた挿絵作品を調査した「イジー・トゥルンカの挿絵作品調査ノート」は、得難い報告であると共に、作品を観る上でさまざまに感じる手助けとなる‘鑑賞の手引き’のような内容としても読むことができ嬉しいところです♪

あと、特筆すべきはリストの充実です。特に「書籍リスト」は、モノクロですが書影も掲載されていて、挿絵数もカウントされており、もちろん邦訳の状況確認も出来るという素晴らしさとなっていますよ♪

  • 目次
    • イジー・トゥルンカ先生像[川本喜八郎]
    • イジー・トゥルンカの創作を振り返って[ブジェチスラフ・ポヤル インタビュー]
    • イジー・トゥルンカの作品世界:美術のたわむれ[マリエ・クリメショヴァー]
    • 図版
      • 第1章 人形劇から挿絵の仕事へ 1933-1944
      • 第2章 人形アニメーションへの挑戦 1945-1959
      • 第3章 晩年を迎えて 1960-1969
    • イジー・トゥルンカの生涯[中目真理子]
    • イジー・トゥルンカの挿絵作品調査ノート[松本育子]
    • 略年譜[松本育子*編]
    • 書籍リスト[柴田勢津子*編]
    • 映画作品リスト
    • 主要参考文献[マリエ・クリメショヴァー*編 / 松本育子*編]
    • 出品リスト
  • 展覧会の巡回 刈谷市美術館⇒福井市美術館⇒栃尾市美術館

“Alice” by イジー・トゥルンカ

トゥルンカさんはまた、「不思議の国と鏡の国のアリス」というタイトルにおいて、“Alice”に挿絵を寄せてらっしゃいます。大変残念なことに、未発行とのことなのですが、こちらの図録にて5点が紹介されています…☆

しん…と落ち着いた深く碧い緑がとても印象的……漂う空気は、柔らかな透明感に満ち、極上に夢見心地な叙情性を称えています。キャラクターの造形もユーモアが感じられ、とっても素敵でチャーミングです!
いつか、絵本の形で拝見できる日が来ることを願わずにはいられない素晴らしさとなっていますよ。

“Alice” by イジー・トゥルンカ

“Alice” by イジー・トゥルンカ

Information

出版社品切れ または絶版 となっています >2018年6月現在

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