森のなかの1羽と3匹

森のなかの1羽と3匹

大島弓子 *著
白泉社
1996.11 初版 / 19×16 / 79p
ハードカバー
[ 商品番号 N゜ef1-17 ]

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大島弓子さんの作品には、普段の素顔は全く謎のベールに包まれた大島さんが愛猫サバとの日々などを描くことによって、日常を綴ったエッセイマンガがあります。
このエッセイマンガがまた、ストーリーマンガとは別な感じで、大島さんの素敵な感性が滲み出た良いものなのですが、しばしば、作中に登場する近所の鶏やゴキブリや果ては蚤などの生物が、擬人化されて描かれています。
サバなど猫たちの気持ちもそうですが、その生物たちの気持ちや生態の描き方はほんとうにリアルで、いつも感動してしまうほど!

この絵本は、「森のなかの1羽と3匹」―トンボ、カッコー、カエル、セミ―を擬人化して、その生態や一生を描いたもの。
永い時によって培われた生物たちの生き方は、DNAに組み込まれ抗うことのできないまさに‘自然’…。
擬人化されていることによって、より心にすっと入ってくるその描き方は、普段何気なく使っている‘想像力’という言葉がずしっとくるような、まるで描かれている生き物そのものの心情が抒情豊かに伝わってくるようなそんな感じです。

それぞれに、生命の尊さと生きることの美しさ・楽しさ、そして哀しさが表現されていますが、特に印象深かったのは託卵という性(さが)を持って生まれてくる「カッコー」でしょうか…。

暗唱したいような美しい文のリズムは、大島弓子さんの素晴らしい‘想像力’や視点の斬新さと相まって印象深く、また、イラストの美しいこと!!

繊細な線描の柔らかさに重ねられた水彩とパステルの、微妙な微妙なしんと心が澄み切っていくような落ち着き、つややかさ、瑞々しさ、透明感、暖かさ、清冽さ…!

世界が愛しく思えてくるような、そんな素晴らしい1册となっています.:*・゜

Information

出版社品切れ または絶版 となっています >2018年6月現在

2003年、全音楽譜出版社より、この『森のなかの1羽と3匹』のテキストを詩とし、青島広志さんが曲を付けた合唱作品の楽譜が上梓されています♪

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