食と暮らしの古本屋 eclipse plus

生まれ育った大阪で少女の頃に両親を亡くし天涯孤独の身となった主人公の澪が、次々と襲ってくる “艱難辛苦”を乗り越え、さまざまな人たちと温かなご縁を結びながら 料理人として腕を磨き成長していく、とても素敵な時代小説シリーズです。

お話は連作短編集となっていて、１話読み終えるたびに、心がほっこり 温かくなるような読み心地♪

澪を始め、登場人物たちは皆、やるせない哀しみや苦しみを背負っていて、だからなのでしょうか…
ひとの心を慮る優しさに溢れ、ひとの温かさの有難さを知っていて、笑ったり喜んだり嬉しがったりする表現がなんともいえず心に響きます。

友情あり、恋愛あり、親子愛あり、夫婦愛あり、姉弟愛あり、それから、主人と奉公人の絆やご近所の頼もしさなど、さまざまな愛と人情に溢れたシリーズなのですが、「みをつくし料理帖」というシリーズ名からもお察しのとおり、お料理への愛にも充ち満ちています！

澪の料理に対する情熱、研究熱心さ、お料理を召し上がるお客様に対する心は見上げたもの！
また、澪は生まれも育ちもお料理の基礎を修業したのも 大阪は上方なのに、訳あって 江戸で料理人となることになったので、上方と江戸の味覚や好みの違いにも戸惑う事が多く、その戸惑いから 新しいお料理が誕生することもしばしば♪流通網と情報網が江戸時代と比べものにならない現代に生きる読者にとっては逆に 時代を味わえる楽しみどころとなっています♪

登場するお料理も、飽食の現代から見ればシンプルですが、日本人で良かったーと思わず叫んでしまう、そんな美味しそうなラインナップとなっていて、素材の味を活かす調味や 旬を大事にする心、医食同源の教え、身体のみならず心まで養い満たしてくれる食の大切さ etc...　食にさまざまな問題を抱える現代だからこそ再確認したいこともいっぱい盛り込まれています！
巻末にはレシピも添えられていますので、お話を読み終えたらぜひお試しになってみてくださいね♪

離れていても、会えなくても、言葉に出さなくても、目に見える形でなくても、想い合うことで気持ちが通じ、思いを分かち合える… そんな素敵なシーンにいっぱい出逢えるシリーズで、澪がおばあちゃんになるまで続いて欲しいと願わずにいられません！

下記では、シリーズ本とそれぞれに収められているお話をご紹介していきますね。 どうぞご堪能ください.:*・゜

• 狐のご祝儀 ― ぴりから鰹田麩
• 八朔の雪 ― ひんやり心太
• 初星 ― とろとろ茶碗蒸し
• 夜半の梅 ― ほっこり酒粕汁
• 巻末付録　澪の料理帖

• 俎橋から ― ほろにが蕗ご飯
• 花散らしの雨 ― こぼれ梅
• 一粒符 ― なめらか葛饅頭
• 銀菊 ― 忍び瓜
• 巻末付録　澪の料理帖

• 豊年星 ― 「う」尽くし
• 想い雲 ― ふっくら鱧の葛叩き
• 花一輪 ― ふわり菊花雪
• 初雁 ― こんがり焼き柿
• 巻末付録　澪の料理帖

• 花嫁御寮 ― ははきぎ飯
• 友待つ雪 ― 里の白雪
• 寒紅 ― ひょっとこ温寿司
• 今朝の春 ― 寒鰆の昆布締め
• 巻末付録　澪の料理帖

• 迷い蟹 ― 浅蜊の御神酒蒸し
• 夢宵桜 ― 菜の花尽くし
• 小夜しぐれ ― 寿ぎ膳
• 嘉祥 ― ひとくち宝珠
• 巻末付録　澪の料理帖

• 青葉闇 ― しくじり生麩
• 天つ瑞風 ― 賄い三方よし
• 時ならぬ花 ― お手軽割籠
• 心星ひとつ ― あたり苧環
• 巻末付録　澪の料理帖
• 特別付録　みをつくし瓦版

• 冬の雲雀 ― 滋味重湯
• 忘れ貝 ― 牡蠣の宝船
• 一陽来復 ― 鯛の福探し
• 夏天の虹 ― 哀し柚べし
• 巻末付録　澪の料理帖
• 特別付録　みをつくし瓦版

• 残月 ― かのひとの面影膳
• 彼岸まで ― 慰め海苔巻
• みくじは吉 ― 麗し鼈甲珠
• 寒中の麦 ― 心ゆるす葛湯
• 巻末付録　澪の料理帖
• 特別付録　みをつくし瓦版
• 特別収録　秋麗の客

• 神帰月 ― 味わい焼き蒲鉾
• 美雪晴れ ― 立春大吉もち
• 華燭 ― 宝尽くし
• ひと筋の道 ― 昔ながら
• 巻末付録　澪の料理帖
• 特別付録　みをつくし瓦版
• 特別収録　富士日和

• 結び草 ― 葛尽くし
• 張出大関 ― 親父泣かせ
• 明日香風 ― 心許り
• 天の梯 ― 恋し粟おこし
• 巻末付録　澪の料理帖
• 特別付録　みをつくし瓦版
• 巻末に料理番付表付き