食と暮らしの古本屋 eclipse plus

ヨーロッパ伝統の、今なお私たちを魅了してやまない数々の銘菓たち…それぞれの生まれた背景をひもとくと、華やかに劇的に歴史を彩った貴婦人たちの名が登場します。

こちらは、ポンパドゥール侯爵夫人や マリー・アントワネット、エリザベート皇妃、ヴィクトリア女王など錚々たる貴婦人たちが愛し、また生み出したお菓子たちが、貴婦人たちの激動の人生と共に華やかに紹介された『貴婦人が愛したお菓子』の愛蔵版…とても豪華な１册です。

• 紹介されているお菓子は例えば…
• カトリーヌ・ド・メディシスの「サバイヨン」や「フィナンシェ」
• ディアーヌ・ド・ポアチエの「そば粉のクレープ」
• ニノン・ド・ランクロの「りんごのタルトレット」
• ラ・ヴァリエール夫人の「苺のタンバル」
• マントノン侯爵夫人の「桃のコンポート」
• マリー・レクチンスカの「ブッシェ・ア・ラ・レーヌ」
• ポンパドゥール侯爵夫人の「タンブル・ムランゲ・ア・ラ・ポンパドゥール」
• デュ・バリー伯爵夫人の「あんずのグラタン」
• マリー・アントワネットの「クグロフ」
• ナポレオン皇妃ジョゼフィーヌの「リ・ア・ランぺラトリス」
• マリー・ルイーズの「ビスキュイ・コンテス・マリー」
• マリア・テレジアの「アップフェル・シュトゥルーデル」
• エリザベート皇妃の「ブルベリーのババロア」
• フリードリッヒ三世皇后ヴィクトリアの「トルテ」
• エカテリーナ二世の「パスハ」
• エリザベス一世の「クイーン・エリザベス・ケーキ」
• ヴィクトリア女王の「ヴィクトリア・ケーキ」etc...

また、アンリ四世、リシュリュー、メッテルニヒ、フランツ・ヨーゼフ一世、ルードヴィヒ二世、ビスマルク、スタニスラス・レクチンスキー、特に栗の銘菓に名を遺したネッセルローデなど、王や皇帝、政治家・外交官として歴史を創り動かした男性たちとゆかりの銘菓も数多く紹介されています。

あと、「貴婦人風のお菓子」として、「王様のガレット」や「マーガレットケーキ」「シャルロット・ア・ラ・リュス」「ピーチ・メルバ」など、有名な銘菓33点の生い立ちが紹介された文章が楽しめたり、「貴婦人のお菓子の歴史」では、ドライ・フルーツから始まり、カトリーヌ・ド・メディシスのフランスへのお輿入れによって激変した洋菓子の歴史を、ポーランド王*スタニスラス・レクチンスキーや、『王家のパティシェ』を著したフランスの天才パティシエ*アントワーヌ・カレーム、ザッハ・トルテを考案したオーストリアのメッテルニヒ宰相などの話題を織り交ぜながら紹介、お菓子を通じてヨーロッパの歴史を辿る愉しさに、より興味を募らせてくれますよ（文中の敬称略）。

ローゼンタールの眩いばかりの食器に飾られたお菓子の写真や、貴婦人たちの肖像画などがまた、文章に華やかな彩りを添えていてとても素敵です。
テーブルセッティングや用いられた数々の装飾品も今田美奈子さんならではのゴージャス感漂う本格派.:*・゜

他、愛蔵版では、「公爵夫人はお茶会がお好き―お茶のテーブルセッティングとマナー」「ヨーロッパのお菓子を訪ねて（ロワールのお城めぐり/ヨーロッパのお菓子屋さん）」「貴婦人ア・ラ・カルト（テーブルセッティングと貴婦人の陶磁器/現代ヨーロッパの貴婦人との出会い/お菓子で作ったお城/私の城・ロゼール城）」、また、「貴婦人とお城の事典」なども愉しめます！

巻末にはもちろん、お菓子の作り方（レシピ）も♪
便利な「インデックス」もありますよ。

『貴婦人が愛したお菓子』の文庫版です。

上記の愛蔵版に比べますと、人物ゆかりのお菓子の紹介が15名（愛蔵版*25名）、「貴婦人風のお菓子」の紹介が13品（愛蔵版*33品）と抜粋されていますが、お菓子の写真や貴婦人たちの肖像画なども豊富に掲載されていてヴィジュアル的にも愉しく、充実の内容です。

文庫になっても、上質紙に美しいカラーで楽しめるのがさらに嬉しいですね！ 巻末にはレシピもありますよ…☆