The key to the treasure is the treasure
家
みつばちは長い旅を終えて、やっと自分の家にもどってきた。
住み慣れた家の窓を開け放つと、周囲のみどりを反射した
やわらかい光がみつばちの部屋の中にたっぷりと入ってきた。
机の上にみつばちは花を飾った。その甘い香りが部屋を満たす。
その部屋で息をついて、初めて、みつばちは気づいた。
みつばち自身が、何かを発見し、何かをつなぎ、何かを楽しみ、何かに涙する、
旅そのものなのだということを。
南風食堂 *著
高市美佳 *装丁*デザイン
大塚いちお *装画*本文イラスト
中川正子 *写真
主婦と生活社
2006年12月初版 / 26×18.5 / 80p
ソフトカバー
[ 商品番号 N゜s3-150-2 ]
小岩里佳さんと三原寛子さんによる料理ユニット「南風食堂」が、滋味溢れ奥深いスープの世界を素敵な趣向で伝えてくれた“スープの本”です♪
レシピ本ですが、旅に出たみつばちが、40のスープをめぐるというお話にもなっていて、「大地」「雨」「芽が出る」「芽が育つ、種ができる」「木と花」「太陽と花とはちみつ」「山と牧場」「港町」「家」と、章立ても素敵!
それぞれの章に添えられた文章も素晴らしく、大塚いちおさんによるプリミティブな雰囲気のイラスト、高市美佳さんによる装丁やデザインも相まって、まるで絵本のような世界観を醸し出しています。
紹介されているスープは例えば…
いろいろな種類のキノコを使うのがコツ、“鶏ガラスープのやさしい味が、秋の香りを支えて”くれる「きのこのポタージュ」、
ピーターラビットに倣って、眠れない夜に食べたくなってしまう!「レタス春雨スープ」、
まるごとトマトをくずすたびに、淡い表情だったコンソメスープがトマト風味に…そのグラデーションも愉しめる「トマトと香菜のスープ」、
カレーのスパイスが、ただ甘く上品なだけでなく、“荒ぶる”かぼちゃの世界を広げた「かぼちゃのカレーポタージュ」、
“すね肉のアウトロー感と、ごぼうの土の香りを楽しむ”「牛すね肉とごぼうのスープ」、
ラムの癖をかき卵が包み込む「ラムとかき卵のスープ」、
香味野菜が主役!鴨のだしをたっぷり吸った野菜を味わう“地味にうまいスープ”「鴨と香味野菜のスープ」etc...♪
鶏、野菜、魚の3種類のスープストックの取り方、スープが美味しくなるひと工夫のアイデアを伝えてくれるコーナーもありますよ。
「はじめに」にあった“旅が終わる日が来るなんてことは、いつまでも気づかないでいたい。”という文章が、ラストの章「家」に添えられた文章に呼応して、なんだか切ない気持ちになりますが、限りある旅、限りある命だからこそ、毎日を大切に、そして、毎日の食事も大切にしたいなあとしみじみ思わせてくれるような読後感.:*・゜
ほうっと溜息が出て、何度もページを辿りたくなるような1冊です。
どうぞご堪能ください.:*・゜
家
みつばちは長い旅を終えて、やっと自分の家にもどってきた。
住み慣れた家の窓を開け放つと、周囲のみどりを反射した
やわらかい光がみつばちの部屋の中にたっぷりと入ってきた。
机の上にみつばちは花を飾った。その甘い香りが部屋を満たす。
その部屋で息をついて、初めて、みつばちは気づいた。
みつばち自身が、何かを発見し、何かをつなぎ、何かを楽しみ、何かに涙する、
旅そのものなのだということを。
出版社品切れ または絶版 となっています >2020年11月現在
「カフェエイト」さん *著
『VEGE BOOK 3』から…ゴールデンデリシャスと赤ワインのジェラートを作ってみました♪