とんとんとん

とんとんとん

天野祐吉 *作
田中希美男 *写真
谷川俊太郎 *表紙帯部分紹介文
福音館書店 / かがくのとも 170号
1983.5 初版 / 25×23 / 28p
ソフトカバー
[ 商品番号 N゜ef9-10 ]

shopへ行く

左ページにはげんこつの形の手の写真、右ページには短い文章(キャプション)。
添える言葉で、同じようなげんこつの写真のイメージが、こんなに変わるなんて!

このユニークな写真絵本については、今回珍しくも折り込み付録が付いているので、まずはその中で作者の天野祐吉さんが作品について語っている文章をすこし抜粋してご紹介したいと思います。

*

1枚のげんこつの写真が、暴力を現わすものにもなれば、暴力反対のシルシにもなる。想像力の扉を「とんとんとん」とたたいてみたら、扉の向こうから何が飛び出してくるか。そんな遊びをしてみたかったのです。ついでに言えば、映像の働きと言葉の働きが、どう違うか。子どもたちと一緒に、そんなことも考えてみたかった。映像は、どう読むかがかなり自由であること。その自由なひろがりを持った映像に、言葉は、ある方向性を与える働きをすること。たとえばそんなことが、リクツとしてではなく、なんとなくわかってくれたらいいナ、というふうに思ったのです。

ひとつのげんこつから、ほかにどんな言葉を思いつくか。それをワイワイやってもらえたら、きっと映像と言葉のかかわり合いについても、何かが子どもたちのなかに残るでしょうね。

実を言うと、この本にのっている言葉も、ぼくひとりで書いたわけではありません。(中略――他の人が書いたものも混じっています。)そういうのを見ていると、その人らしい体験や、生い立ちみたいなものが見えてきて、とても楽しい。

*

この天野祐吉さんの文章は、とても興味深くて、全部書き写してご紹介したいくらいです。
あと、面白いなと思ったのは、いろいろとユニークな発想が試みられている13のげんこつの中でひとつ悩んだのは、ガイコツの写真のげんこつにどんな言葉を添えるかということで、「せんそうはんたい」など様々な候補が上がった中で、最終的に採用されたのが、表紙の帯部分に推薦の詩を書いてらっしゃる谷川俊太郎さんのアイデアだったということ。どんなアイデアだったかというと、‘何も言わない’ことで、それぞれ読んでいる人のイメージを誘い出すというもの!なるほどですね。

1人で読むのも楽しいけれど、大勢でわいわい言いながら眺めたなら、もっと楽しくなるはず!な秀逸な1冊となっています♪
イマジネーションがどんどん拡がる世界への扉を、とんとんとん、とノックしてみませんか…?

Information

出版社品切れ または絶版 となっています >2018年6月現在

Menu

食 food
暮らし life
エトセトラ etc
料理、食にまつわる雑誌バックナンバー 暮らしの雑誌バックナンバー 特集の本棚index 著者別本棚index
お家で眠っている本たちお譲りください ご連絡のとれないお客さまへ
    

Blog

ブログ「Proof of the pudding」へ

「カフェエイト」さん *著
『VEGE BOOK 3』から…ゴールデンデリシャスと赤ワインのジェラートを作ってみました♪

続きを読む