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出版社品切れ または絶版 となっています >2018年6月現在
ヘルムット・ガーンズハイム *著
人見憲司 * 金澤淳子 *訳
青弓社
1998.2 初版 / 19×14 / 264p
ハードカバー
[ 商品番号 N゜ef5-5 ]
Alice の物語を書いたルイス・キャロルという人物について、オックスフォード大学の数学講師であり、聖職者でもあったという事実は知られていても、ヴィクトリア時代中期~後期の写真術草創期に、数多くの素晴らしい写真を遺したアマチュア写真家であったことはあまり知られていません。
この本は、1840年代当時まだ数少ない特別なプロにしか扱えなかった写真術が、技術の発展によって解放されつつあったまさに草創期に、美しい写真を撮り続けたキャロル氏の業績を、当時の写真を巡る社会状況を踏まえ紹介すると共に、趣味の範囲を超えて没頭していた写真との関わり方を辿ることで、キャロル氏の実像に迫った1册です。
まずは「写真術・新しい芸術」として、写真技術の発展の変遷、イギリスを始めとするヨーロッパの写真事情、人々の写真との関わり方などの時代背景が説明され、「写真家 ルイス・キャロル」として、キャロル氏の写真のテクニックや撮影方法、写真芸術への考え方などが、同時代の写真家や時代の流行などを参照しながら紹介されます。
続く「ルイス・キャロルの日記」が本書の中心で、22才から亡くなる少し前までの43年間に渡って書かれた日記より、写真に関する記述を日付け順に紹介。
時に手紙も引用されたりと、さまざまなアプローチから、キャロル氏に迫ります(「 Alice 」出版に附随する一連の騒動についても、こちらで詳しく触れられています)。
ライオン・ハンター(名士と交際したがる人)であったという傾向や、社交における積極性など、写真への情熱から見えてくる意外なエピソードも数多く見受けられます。
代表的な写真64点も楽しむことができます♪本文では、それぞれの写真にまつわる詳しいエピソードも楽しめ、加工の話など、興味深かったです。
他、33册という記録中、著者が消息を突き止めた12册の「写真アルバム」の詳細が紹介されていたり、「写真に関するルイス・キャロルの著作」も紹介されています(「驚くべき写真術」、「ハイアウォサの写真撮影」、「淑女の物語」より一部、「写真家の外出」 、あと、1861年以前に撮影された写真が掲載されているというパンフレット「写真」…の5作)。
なお、以前ご紹介しました『DREAMING IN PICTURES』 で、この本は、ルイス・キャロル氏の研究に一石を投じた1册として詳しく紹介されていて、大人の写真に比べ、 子どもの写真の方が優れているとの論調から、その後、キャロル氏=ロリータ・コンプレックスを抱いていたという流れに、誤解の種を蒔くことになったとあります☆
確かに、ある日の日記に、“写真に撮った、あるいは写真に撮る予定の107人の少女の一覧”が記されていたなどという引用を目にすると、そんな誤解も生まれそうですが( ! )、訳出された本書を読む限りでは、筆者による悪意あるほのめかしの印象は全く受けません。
むしろ、『The Nursery “Alice”』の表紙を手掛けたガートルード・トムソン嬢との最初の出逢いを、写真という本書の領域外のエピソードでありながら、引用している箇所や、キャロル氏が写真を辞めた理由について、氏の文学的課題にあったのではないかと推測している箇所からは、そんな誤解を逆に払拭する、キャロル氏の実像が拡がってくるかと思います♪
研究の歴史の中では、物議を醸した1册かもしれませんが、素人読みで単純に読めば、感じも悪くなく、分りやすく、内容もとても充実しているので、お薦めですよ。
出版社品切れ または絶版 となっています >2018年6月現在
「カフェエイト」さん *著
『VEGE BOOK 3』から…ゴールデンデリシャスと赤ワインのジェラートを作ってみました♪