てぶくろくろすけ

てぶくろくろすけ

川崎洋 *さく
長新太 *え
福音館書店 / こどものとも年中向き
1973年初版・1989年年中向き初版 / 26×19 / 26p
ソフトカバー
[ 商品番号 N゜ef29-21 ]

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へやは、ほかほか あたたかです。
てぶくろおとうさんも てぶくろおかあさんも てぶくろおにいさんも みんな みぎとひだりが いっしょになって ぐっすり ねむっています。
でも てぶくろくろすけは そうっと とを あけて そとへ でていこうとしました。
「おい どこへ いくんだ?」と、かたいっぽうが ききました。
「そとへ あそびに いってくる。だけど ないしょだよ」

…こんな不思議な文から始まるのは、緑の手袋のお父さんと赤の手袋のお母さんから生まれたくろすけのある夜の冒険!

手袋たちは、それぞれ右と左、ペアで1人?のようでもあり、双子のようでもあるのですが、この設定が後に、くろすけが冒険の途中で行き着く“てぶくろこどもこうえん”での出来事に大きく関係してきます!

緑と赤、そして緑と赤を混ぜた‘黒’を基調とした独特の色遣いのためでしょうか、“てぶくろこどもこうえん”での出来事が怖すぎたからでしょうか…くろすけの寂しくて悲しい気持ちがとても強く伝わってきて、不思議な読み心地です。

自分と違っているというだけで、何故人は、他人に対してここまで残酷になってしまうのか…人の心の怖さ、集団意識の怖さのようなものが描かれているというと深読みしすぎかもしれませんが、深読みしたくなるような不思議な余韻と世界観があります。

帰り着いた暖かなお家で、お父さんとお母さんの愛情に包まれ癒やされるラストではほっとできますし、手袋たちもとても可愛らしく描かれているので、一見怖そうに見えない絵本なのですが、差別をしたりいじめたりする心について考えたい時に手にとるのもまた一興の1冊となっていますよ。

どうぞご堪能ください.:*・゜

Information

出版社品切れ または絶版 となっています >2019年1月現在

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