食と暮らしの古本屋 eclipse plus

筑摩書房版のムーミン・コミックスより以前に福武書店から刊行されていた全10册の「ムーミンの冒険日記*シリーズ」です。

こちらは創りが２段組で、コマや文字も大きいので、筑摩書房版を楽しむのはまだちょっと難しいちいさなお子さんにもお薦め♪゛

また、巻末に寄せられた訳者の野中しぎさんのあとがきは、トーべ・ヤンソンさんとの親交のエピソードを素敵に生き生きと伝えてくれていて、とても読みごたえがあるお愉しみとなっていますよ…☆

ムーミン・パパ・ママとムーミンは、実はムーミンがまだちいさな頃、生き別れていたとのこと！
独りぼっちで淋しくて、いっそ入水自殺してしまえと水に飛び込んだムーミンは、ボートに乗ったパパとママに偶然出逢います。お家で、あたたかな飲み物をもらった時に、「このカップ！」とムーミンが驚愕する親子の再会シーンは、可笑しくて…素敵です♪

パパの冒険好きは、もちろん生来の性質かもしれませんが（ ! ）、もしかしたら息子にまた出逢えた嬉しさから、お父さんらしいカッコイイ良いところをいっぱい見せたかったからかもしれませんね！

ピクニックへ出掛けようと、ムーミンたちが乗り込んだのは、なんと“ジェーン伯母さんのヘリコプター”（ ! ）。ところが途中、嵐にみまわれ、無人島に放り出されてしまいます。
そして、その無人島でムーミンたちが出逢ったのは、なにやら不穏な職業だったらしいご先祖さまのミイラ！さらに、船が難破して同じく無人島に辿り着いた海賊たちも入り乱れ、ムーミンたちの無人島ライフは散々なことに☆ ムーミンたちは無事、ムーミン谷に帰ることができるのでしょうか…？

意外とスリムな（ ! ）ご先祖さまが大活躍の１册！丸顔の海賊や船ネコも可愛くてお気に入りです♪
そして、どんな事態に直面しても、まずは落ち着ける“わが家”創りに余念がないママは、やっぱりとっても素敵ですね♪

ひょんなことから家で預かることになったミイに、部屋を明け渡すよう迫られ、困ってしまったムーミン。仕方なく（といいますか、ミイの口車に乗せられ）、自分の家を建てることになります！
家を建てている時の、ムーミンとミイの掛け合いと、ムーミンとフローレンのそれぞれの思惑が、くすりと笑える感じで、とても楽しいですよ…♪
ラストは、素晴らしくハッピーエンドです！

無気味なほどの暑さにおそわれていたムーミン谷に、ある日流れ着いた“ねったいのたね”…ムーミンが喜ぶならとママがまいてみたところ、めきめきと育って、あっという間にムーミン谷がジャングルに…！
異常事態で大混乱の上に、いたずら者のスティンキーや、植物学者と動物学者のヘムレンたち、さらに動物園から逃げ出した動物達も加わって、ますます困ったことになってしまいますが☆

途中、ムーミンが‘かば’に間違えられる下りがあって笑えるところなのですが、ラストにも楽しい落ちがありますので、どうぞお楽しみに♪゛
また、いつもムーミンの横に影のように寄り添うシャドーII 世のちょこまかとした動きもかわいらしいので、どうぞご注目くださいね！

不穏な空の色、ニョロニョロの大移動…のどかだったムーミン谷に不吉な影が立ち込めています。ムーミンたちは、とつぜん起こった騒動の原因をつきとめようと、冒険に出発しますが…。

世界が終わるかもしれない異常事態に直面して、ムーミン谷の住人たちがそれぞれにとる行動が、深い人間観察に根ざしていて興味深いです。
また、お話の流れと共に、絵も隅々まで楽しく、いつもながらにパパが読んでいる本のタイトルが気になったり（ ! ）。ママが大切にしているバラの名前が秘かに“ロイヤルムーミン”だったりするのも楽しいです！
ちびのミィが大活躍なのも、嬉しい１册♪