ラファエル前派とその時代
from the FORBES Magazine Collection and others
東京新聞
1985 / 27×24 / 165p
ソフトカバー
[ 商品番号 N゜ef2-5-2 ]
ラファエル前派は、19世紀半ばのヴィクトリア朝時代に、ロイヤル・アカデミーによって築かれてきたアカデミックで型にはまったイギリス美術の傾向を批判し、新しい芸術の世界を、ラファエロ以前の初期イタリア・ルネッサンス時代に求めた芸術運動です。
こちらは、ラファエル前派の作品を、同時代のヴィクトリア朝絵画と併せ比較展示することにより、ラファエル前派の芸術運動を広く概観した展覧会「ラファエル前派とその時代」展の図録です。
カタログ部分の構成は、4つのグループに画家たちを“便宜的に分類”、画家ごとに絵画作品がまとめられ、画家の詳しい略歴、そして詳細な説明が添えられた図版を楽しむことができます。
文章を寄せているのは、序文そしてグループ解説と共にジョン・クリスチャン氏で、氏の思索の足どりをも辿れるような読みごたえとなっています。
図版も美しく充実!特に、ロセッティ氏の「ヴェヌス・ヴェルティコルディア」など数点に観られるように、作品の一部を拡大した図版をも楽しむことが出来る趣向が、ラファエル前派特有の華やかさや抒情性をより堪能できるようで嬉しいところ!
他、「ラファエル前派関連写真」として、画家たちの肖像写真が紹介されていたり(ルイス・キャロル氏撮影の作品も含まれています☆)、ラファエル前派に関連した場所が説明されたロンドンの地図が掲載されていたり、年表も主要な作品の図版がモノクロながら41点も参照できたりと、とても凝った創りとなっています。
参考文献も、特に日本のものは、雑誌の記事まで含む充実度となっていますよ!
紹介されている画家たちは…
<ラファエル前派>
ウィリアム・ダイス、フォード・マドックス・ブラウン、ウィリアム・ホルマン・ハント、ジョン・エヴァレット・ミレー、ウォルター・ハウエル・デヴァレル、ジョン・ウィリアム・インチボルド、ウィリアム・シェイクスピア・バートン、ジェイムズ・コリンソン、アーサー・ヒューズ、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ヘンリー・ウォリス、ジェイムズ・アーチャー、フレデリック・サンズ、ベンジャミン・ウィリアムズ・リーダー、ジョン・アトキンソン・グリムショー、エドワード・バーン=ジョーンズ、ジョン・メリッシュ・ストラドウィック、マリー・スティルマン、イーヴリン・デ・モーガン、フランク・ディクシー、ジョン・バイアム・ショー、フランク・カダガン・クーパー。
<古典派>
ジョージ・フレデリック・ワッツ、ヴァレンタイン・キャメロン・プリンセプ、フレデリック・レイトン、エドワード・ジョン・ポインター、ロレンス・アルマ=タデマ、ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス、ジョン・ウィリアム・ゴッドワード。
<審美派>
ジェイムズ・アボット・マクニール・ホイッスラー、アルバート・ムーア、トマス・アームストロング、ジョージ・ダンロップ・レズリー、ウォルター・クレイン、チャールズ・ヘイゼルウッド・シャノン、ジョン・シンガー・サージェント、ウォルター・オズボーン、チャールズ・コンダー。
<風俗画家その他>
ジョン・リネル、リチャード・ダッド、ウィリアム・パウエル・フリス、ウィリアム・マクタガート、フランク・ホール、フーバート・フォン・ハーコマー、ジェシカ・ヘイラー、イーディス・ヘイラー。
(太文字の画家は、図版が2点以上、または拡大されて掲載されています)(敬称略)
- 目次
- あいさつ(英語併記)
- メッセージ(英語の原文あり)
- 序文「ラファエル前派とその時代」ジョン・クリスチャン(英語の原文あり)
- カタログ ジョン・クリスチャン
- ラファエル前派
- 古典派
- 審美派
- 風俗画家その他
- 「ラファエル前派と日本の近代美術について」 藤田啓子
- ラファエル前派関連写真とロンドン地図 河村錠一郎
- ラファエル前派関連年表
- 参考文献
- 展覧会の巡回 伊勢丹美術館