西洋絵画のなかのシェイクスピア展
東京新聞
1992 / 27×23 / 198p
ソフトカバー
[ 商品番号 N゜ef2-5-1 ]
西洋、特に18世紀以降のイギリスにおいて、シェイクスピア劇は、聖書やギリシア・ローマ神話と並んで、多くの画家たちを魅了し、インスピレーションを与え続けてきました。
こちらは、シェイクスピア劇の登場人物やその一場面が描かれた作品を、18世紀半ばより今世紀初頭にかけて、テーマ別・系統的に辿ることにより、シェイクスピア劇に対する画家たちのさまざまなアプローチに迫った展覧会「西洋絵画のなかのシェイクスピア展」の図録です。
全体の構成は、時代を追う形で8つのセクションに分けられています。
シェイクスピア像やそのイメージを示す作品を紹介した「プロローグ」に始まり、当時の最も優れた画家たちにシェイクスピア作品の絵画化を委嘱、まとめた“ボイデルのシェイクスピア・ギャラリー”、他、追随した類似の企画を紹介した「ボイデルのこころみ」、それぞれの時代の絵画運動とシェイクスピア劇の影響を紹介した「ロマン主義運動」「初期ヴィクトリア朝」「ラファエル前派」、そして、絵画のみならず、壁画や挿絵・舞台デザインなどを紹介した「エピローグ」まで。
また、「名優ギャリックの時代」「名優アーヴィングの時代」として、特にデイヴィッド・ギャリックとヘンリー・アーヴィングがクローズアップされていますが、他にも、プリチャード夫人、ジョーダン夫人、ウィリアム・チャールズ・マクレディ、ジョン・フォーセット、エレン・テリーなど、シェイクスピア劇を演じた名優たちを描いた作品が時代を追って展望できるのも、シェイクスピアというテーマならではのお楽しみとなっています。
紹介されている画家たちは… フォード・マドックス・ブラウン、チャールズ・ハント、フランシス・ヘイマン、ヘンリー・フューズリ、ヘンリー・ウィリアム・バンベリー、ジョージ・ロムニー、ウィリアム・ホッジズ、フランシス・ホイートリー、ジョゼフ・ファリントン&ロバート・スマーク、ウィリアム・ハミルトン、アレクサンダー・ランシマン、ジョン・ハミルトン・モーティマー、ウィリアム・ブレイク、ジョン・マーティン、フランシス・ダンビー、ジョゼフ・セヴァーン、ウジェーヌ・ドラクロワ、デイヴィッド・スコット、リチャード・レッドグレイヴ、ダニエル・マクリース、ポール・フォーコナー・プール、ジョン・ギルバート、ウィリアム・ブロムリー、ウィリアム・ダイス、ウォルター・ハウエル・デヴァレル、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ジョン・エヴァレット・ミレー、ジョン・ロッダム・スペンサー・スタナップ、エドワード・バーン=ジョーンズ、ジョージ・フレデリック・ワッツ、フレデリック・レイトン、エドワード・ジョン・ポインター、ジョン・ペティ、ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス、フランシス・バーナード・ディクシー、ジョン・シンガー・サージェント、アーサー・ラッカム、チャールズ・ド・スーシ・リケッツ、フランク・カドガン・クーパー etc...(上記敬称略)☆太文字の画家は、特筆されていたり図版が多く紹介されています。
カタログの図版は91点で、嬉しいのは、比較対照として文中で挙げられている絵画の図版もさらに50点楽しめる創りとなっていること!
また、1つ1つの作品に、多岐に渡ってとても詳しい説明が添えられています。セクションの説明と作品の説明を手掛けているのは、この展覧会の監修者である(序文をご参照くださいね)ジョン・クリスチャン氏――これまでにも、「ラファエル前派とその時代」展など日本で催された展覧会も手掛けてらっしゃる方なのですが、こちらの展覧会の図録作成にあたっても、その細やかな心遣いがとてもよく伝わってきます。
他、シェイクスピア本人と絵画との影響関係を探った河村錠一郎氏による文章も。
充実の図版と読みごたえのある文章で、鑑賞の幅が、広く深く拡がっていきます.:*・゜
- 目次
- 序文(ジョン・クリスチャン)(英語の原文あり)
- シェイクスピアはどれほど絵画に関心があったか(河村錠一郎)
- 作家略歴
- カタログ(ジョン・クリスチャン)
- プロローグ
- 名優ギャリックの時代
- ボイデルのこころみ
- ロマン主義運動
- 初期ヴィクトリア朝
- ラファエル前派
- 名優アーヴィングの時代
- エピローグ
- 主要参考文献
- シェイクスピアの作品・創作推定年表
- ☆巻末に、カタログ部分の英語の原文も掲載されています。
- 展覧会の巡回
- 伊勢丹美術館⇒茨城県近代美術館⇒近鉄百貨店 近鉄奈良ホール⇒高松市美術館