食と暮らしの古本屋 eclipse plus

先日お届けしました展覧会図録『幻のロシア絵本 1920-30年代』(2004) に先駆け、1920年代ロシア（ソ連）の絵本がまとまった形で紹介された画期的な１册です。

こちらは展覧会図録ではないのですが、1989年にスイスのチューリッヒ市において、スイス児童文学館主催で展観された「ソ連 子どもの本展」の中心となった“「1920年代の絵本」の紙上再現を試みた”企画であること、また、「ソ連 子どもの本展」の展覧会図録に寄せられた論文を掲載しているということで、展覧会図録の本棚でお届けすることにしました☆

1920年代ロシアの絵本の素晴らしさについては、先日お届けしました「幻のロシア絵本 1920-30年代」展のページでご紹介していますが、革命を経た刷新の機運のなかで盛り上がっていたロシア・アヴァンギャルドの成果が注ぎ込まれた魅力的なセンスに満ち、創意に溢れた新しいスタイルが大胆に試みられていて.:*・゜
特殊な時代背景のもとでの切実なエネルギーによって、本当に奇跡のように生まれた素晴らしい絵本たちです。

こちらの図版部分は、65タイトルの絵本が中のページも共に楽しめる構成。
図版もその意匠が心ゆくまで楽しめる大きさで見応えがあります。
さらに嬉しいのは、図録『幻のロシア絵本　1920-30年代』で紹介されている絵本とタイトルがあまり重なっていないことで、『机』（Ｂ・ジトコーフ*作、Ｅ・エヴェンバフ*画）、『家で飼う鳥たち』（Ｍ・グラナフツェワ*作）、『ボール』（Ｓ・マルシャーク*詩、Ａ・パホーモフ*画）、『ペトルーシカともじゃもじゃスチョープカの戦い』（Ｅ・シュワルツ*作、Ａ・ラダコフ*画）、『歌集』（Ｎ・アシューキン*詩、Ｐ・アリャクリンスキイ*画）、『昔話集』（Ｎ・レマン*作画）、『カラスの子』（Ｅ・シュワルツ*作、Ｅ・ベルーハ、Ｋ・ルダコフ*画）、『牧童とカッコウ』（Ｖ・ビアンキ*作、Ｖ・イワノワ*画）、『タカ・ウ』（Ｌ・レオンチェフ*作、Ｅ・ラチョフ*画）、etc... 65タイトル中42タイトルが、こちらの本でのみ楽しめます♪
どうぞ併せて、お楽しみください！

• 目次
  • はじめに
  • 図版
  • 01　絵本の革命
  • 02　技術―幸せな未来の保証―
  • 03　生産の本
  • 04　新しい一致―世界の兄弟、ソ連邦の同胞―
  • 05　農業について
  • 06　社会のしくみ
  • 07　心・頭・手
  • 08　子どものための言語
  • 09　動物メルヘン
  • あったのか―なかったのか？　ソビエト絵本における民族的なものと即物的なもの
  • …ヴェルナ・ラシュマン（スイス児童文学館学芸員）
  • 作品データ

• 展覧会の巡回（スイス児童文学館）