幻のロシア絵本 1920-30年代

幻のロシア絵本 1920-30年代

淡交社
2004 / 24×19 / 231p
ソフトカバー
[ 商品番号 N゜ef2-1-5 ]

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1920-30年代のロシアで発行された絵本は、表紙は共紙で薄手の紙に刷られた、ホチキス留めの小冊子といった簡易な創りですが、革命を経た刷新の機運のなかで盛り上がっていたロシア・アヴァンギャルドの成果が注ぎ込まれた魅力的なセンスに満ち、創意に溢れた新しいスタイルが試みられていました。

斬新な色彩感覚に、シンプルでありながら心踊るようなリズミカルなフォルム、そして身近なことをモチーフとしたそのジャンルの多様さ!…その新鮮な表現と方法は、国内はもとより、遠くヨーロッパの国々、そして日本においても享受され、その後の絵本創りの方向性に大きな影響を与えることとなります。

しかし、1930年代後半になると、国家の厳しい表現の統制によってこれら革新的な絵本は発行不可能となり、奇跡のように誕生したロシア絵本の黄金時代は終焉を迎え、やがて忘れ去られる運命となってしまって…。

こちらは、その後幻となっていたロシア絵本を含む約250册を一堂に紹介した展覧会「幻のロシア絵本 1920-30年代」の図録です。

図版部分は2部構成…
第1部は、ジャンルごとに分けられたロシア絵本・168タイトルの紹介です。 こちらは展観に際しても、全部のページを観せることのできない絵本の展示ということで、全展示絵本のコピー本を楽しめる部屋が設えられているという嬉しい配慮がありましたが、そんな配慮は図版にも見られ、表紙だけでなく中のページも随分と楽しめる素晴らしい創りとなっています♪
第2部は、ロシア絵本が昭和初期の日本の絵本に与えた影響を辿っています。 そもそも、この展覧会で紹介されているロシア絵本は、そのほとんどが、絵本が刊行されて間もない1930年代にリアルタイムで収集された個人の蔵書とのこと。中核を占めるのは、画家・吉原治郎氏のコレクション87册で、画家の柳瀬正夢氏、デザイナーの原弘氏らが続きます。子どもの手を経る絵本は概して保存状態が芳しくなく、世界的に見ても、これらのコレクションは貴重とのこと。海外の新しい動向に敏感な若いアーティスト達が、ロシア絵本に注いだ熱い関心とまなざしが伝わってきます.:*・゜また、吉原氏が後に、ロシア絵本に触発されて発行したと想われるお洒落な絵本『スイゾクカン』も拝見でき、そのモダンさにも驚かされますよ!

なお、こちらの図録は展覧会図録には珍しく、一般に流通しています。
このような配慮も含め、上記で紹介しました[展観における全展示絵本のコピー本閲覧]や、下記で紹介しています[「幻のロシア絵本」復刻シリーズ]に至るまで、ロシア絵本の素晴らしさを 深く広く長く 伝えようとする気持ちの込もった創意ある試みもまた、とても素晴らしい展覧会です.:*・゜

  • 目次
    • ЧАСТЬ1
      • プロローグ ロシア絵本の幕開け
      • 1.二人のウラジーミル 絵本革命の旗手
      • 2.小さな社会 子どもたちの暮らし
      • 3.楽しい知識 身の回りから学ぶ
      • 4.働く人々 労働と生産
      • 5.世界は広い 風土と民族
      • 6.命をはぐくむ自然 動物たちの生態
      • 7.私たちの国 過去から未来へ
      • エピローグ そして誰もいなくなった
      • ロシア・アヴァンギャルドの最後のきらめき 1920-30年代のロシア絵本
        …アレクサンドラ・シャツキフ(英文あり)
      • 魔法使いはどこに棲む? ロシアの絵本と児童文学 鴻野わか菜(英文あり*要約)
    • ЧАСТЬ2
      • ロシア絵本を手にした日本人
      • 小西謙三と1930年代大阪のロシア絵本をめぐる動向 平井章一(英文あり*要約)
      • 子どもの本が国境を越えるとき ヨーロッパと日本におけるロシア絵本の受容
        …沼辺信一(英文あり*要約)
      •  
    • ПРИЛОЖЕНИЕ
      • 作家・画家略歴
      • 作品リスト
  • 展覧会の巡回
    • 芦屋市立美術博物館⇒足利市立美術館⇒東京都庭園美術館

Information

ただいま流通中です >2018年7月現在

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