ゆきのねこ
ダイヤル・コー・カルサ *文と絵
あきのしょういちろう *訳
童話館出版
1995年2月初版 / 22×26.5 / 26p
ハードカバー
[ 商品番号 N゜ef14-15-1 ]
shopへ行く
森のはずれのちいさな家に暮らすエルシーは、ひとりぼっち。
ある冬の日、いっしんに神さまにお祈りをします。
一緒に暮らす猫をください、猫にあげられる食べ物がないのでお腹のすかない猫をくださいと…。
祈りは叶えられ、神さまは、雪でかわいくておおきな猫を創り、エルシーに贈ってくださいます。
幸せなエルシー!お気に入りのところ、好きなもの、全部、雪の猫に見せます。
ふたりはいつも一緒.:*・゜
でも、雪の猫は、あたたかい家に入れることができなくて…!
クリスマスの絵本ではありませんが、エルシーの神さまを信じる心が、受胎告知をされた時に神さまを全く疑わなかったマリアさまを想わせ、クリスマスの時期になると、読み返したくなる絵本です。
神さまから与えられた雪の猫は、エルシーのわがままなお祈りの通りだったのに、エルシーは一旦、猫を失い、とても悲しい思いをすることになります。
けれど、雪の猫は違う形で、ずっとずっとエルシーに寄り添い続けてくれるところもとても素敵で、お祈りは、人間には計り知れない形で叶えられるということの真実が描かれているよう.:*・゜
作者のダイヤル・コー・カルサさんは、43歳の時にガンの告知を受けた後、3年の闘病生活で7冊の絵本を上梓されていますが、この『ゆきのねこ』は、46歳という若さで亡くなられた後に、読者に届けられています。
若くしてガンを告知された時、どれほどカルサさんが神さまに祈ったかを想うと、とても切なくなりますが、エルシーの祈りがもっとずっと大きな形で叶えられたことを鑑みると、『ゆきのねこ』を始めとする作品を通して、カルサさんの生き続けたいという祈りは叶えられたのかもしれないなと思います。
特にこの『ゆきのねこ』は、死に向き合い、神さまと真摯に向き合った心によって紡ぎだされ描かれたと素直に感じられる、不思議な魅力に満ちているので、きっとずっと読み継がれていく1冊となることでしょう。絶版にならないことを願ってやみません.:*・゜
まるで読者に語りかけているかのようにしたためられたお話は、詩的で美しく、とてもあたたかな雰囲気.:*・゜
切り絵のようなイラストもとても印象的で、デザイン的にも素晴らしく、イノセントな雰囲気がとても素敵です。
どうぞご堪能ください.:*・゜
The key to the treasure is the treasure
さいわいなことに、その夜は、おいのりをするのに ぴったりの夜でした。はるかかなたの 天の国からとどく かがやかしい光が、いてつく夜空の いくひゃくまんの穴からこぼれ、それが きらめく星くずとなって 頭上にうずまいていました。ごぞんじのように いなかでは、こんなすみきった冬の夜には、おいのりは、まきをもやすけむりが、農家のえんとつから 灰いろの羽毛となって 高くたちのぼるように、とりわけ まっすぐ 神さまにとどくのです。
Information