食と暮らしの古本屋 eclipse plus

北米ルイス・キャロル協会会長でもあるAliceコレクター、チャールズ＆ステファニー・ロヴェットご夫妻が所有する“ロヴェット・コレクション”より、日本初公開・330点を越える展示品が紹介された1993年の展覧会「不思議の国のアリス」展の魅力に迫った図録です。
図版の豊富さ、印刷の美しさはさすが展覧会カタログならでは！永久保存版の内容となっています♪

内容も多岐に富んでいて、各国版の Alice本たち、ルイス・キャロル氏による水彩画、テニエル氏の自筆サイン・スケッチ入り肖像写真など珍しいものがいっぱい！

そしてやっぱり圧巻なのは、「Picturesque Alice」として紹介されている総勢30名の‘イラストレーターによるAlice’の紹介！
キャロル氏本人や、初めての商業出版版を手掛けたジョン・テニエル氏の作品はもちろん、L.J.ブリッジマン、チャールズ・コープランド、ピーター・ニューウェル、トーマス・メイバンク、ウィリー・ポガニー、ブランチ・マクマナス、ベッシー・ピーズ・ガットマン、アーサー・ラッカム、チャールズ・ロビンソン、ハリー・ラウントリー、チャールズ・ピアース、T.H.ロビンソン、メイベル・ルーシー・アトウェル、ジョージ・ソーパー、マーガレット・タラント、グウィネッド・ハドソン、ガートルード・ケイ、フランクリン・ヒューズ、フィリップ・ガフ、チャールズ・ブラックマン、マイケル・ヘイグ、アンソニー・ブラウン、トム・ホール、マーヴィン・ピーク、ラルフ・ステッドマン、バリー・モザー、ギャヴィン・オキーフ（敬称略）など、国や時代を越えて、さまざまに個性豊かな Alice の世界を堪能することができます。マリー・ローランサン嬢やサルヴァドール・ダリ氏が手掛けたAlice も拝見できますよ♪
吉田新一氏によるイラストの解説も必見！簡潔ながらイラストレーターごとにまとめられ、読みごたえがあります。
ちなみに日本の作品も紹介されていて、太田大八氏、沢渡朔氏、金子國義氏、山本容子さん、作場知生氏がピックアップされています☆

また、ルイーズ・スティムソン女史制作のジオラマや、クララ・Ｇ・デニス女史制作の人形の紹介など、なかなか一般には公開されにくい逸品も。

他、映画・切手・広告・ゲーム・幻燈スライドなど、本以外のメディアでの Alice の活躍や、ユニークなところでは、「ミカドの国のアリス」として、日本における Alice 紹介の変遷がこれまた豊富な図版と共に紹介されています。

もちろん、文章も充実していて、高橋康也氏、高山宏氏、脇明子氏、吉田新一氏、末吉暁子氏、柳瀬尚紀氏、原昌氏の寄稿の他、海外の古書籍商・書誌研究家の方による「“幻の初版本”騒ぎのてんまつ」や、今回コレクションの公開に協力されたチャールズ・ロヴェット氏による愛情いっぱいのあとがき‘キャロリアンの至福―アリスもの収集記’に至るまで、ほんとうに興味深く、Alice の世界の奥深さと拡がりを贅沢なまでに堪能できる充実の図録となっています。
巻末にはキャロル氏の年譜、日本における「アリス」出版史も♪

• 目次

• ごあいさつ　NHKサービスセンター
• メッセージ　チャールズ&ステファニー・ロヴェット
• Everlasting Alice & Carroll　
  • もっともっと知りたいキャロルとアリス
    • 不思議な顔のキャロル　高橋康也
    • いまだ知られざるキャロルのために　高山宏
    • 不合理の守護神―キャロルとアリス　脇明子
    • ［図版］
• Picturesque Alice　
  • さし絵芸術の百花繚乱
    • 「アリス」に挑んだイラストレーターたち　吉田新一
    • ［図版］
• Literary Alice
  • 幼な心とおとな心のクロストーク
    • “幻の初版本”騒ぎのてんまつ　ジャスティン・シラー
    • 迷宮としてのワンダーランド　末吉暁子
    • 翻訳類推キャロリー計算　「アリス」から『フィネガンズ・ウェイク』へ　柳瀬尚紀
    • ［図版］
• Ubiquitous Alice
  • 変幻自在のアリス 　　
    • アリスはどこにでも顔を出す　チャールズ・ロヴェット
    • ［図版］
• Alice in Mikadoland　
  • ミカドの国のアリス
    • 「二つのアリス」、日本での受容史　原昌
    • ［図版］
• キャロリアンの至福　アリスもの収集記　チャールズ・ロヴェット
• ルイス・キャロル年譜
• List of Items in the Exhibition
• 日本における「アリス」出版史／日本コーナー展示品リスト

• 展覧会の巡回
  • 記載なし…（京都・横浜・大阪）