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ギリシア神話に登場する女性たちのさまざまな愛のすがたを通して、女性の生き方について考え、さらには「ギリシア神話」そのものでなく、「ギリシア神話のこころ」を伝えたい…詩人の高橋睦郎さんが女性のために書き上げた、ギリシア神話の入門書です。

“よろこばしい婚礼の日、昔ふうに言えば、長持のそこに、そっとこの本を入れてくださったらなあ…… ”と、現代の“女大学”を目指して書かれたこの本は、２４課から成る「愛のレッスン」形式！とても洒落ています。

それぞれのレッスンは、女性の成長課程に沿って芽生える愛の感情を順に考察する形ですすめられ、 神話に登場する人間の女性の生き方や愛の形がとりあげられています 。

また、レッスン毎に、その神話のエッセンスを称えた詩が、高橋氏によって紡ぎ出されているという趣向は、ギリシア神話がそもそも、吟遊詩人によって口承で語り継がれていたという昔に思いを馳せることができるようで、とても素敵…☆

さらに、レッスンの後には、オリュンポスの１２神を中心に神々の世界を紹介する「卒業式」の章があったり、巻末に神々の系図が「卒業証書」として付与されていたりと、遊び心もいっぱいです。

また、さすが詩人による文章ということで、言葉の選び方１つ１つがとても丁寧で美しいです。
かといって難しい感じではなく、あくまで易しく…時に氏の解釈が加えられていたり、ギリシア神話がモチーフとなっている詩や小説、絵画、映画が紹介されていたりと、読者がギリシア神話をより身近なものとして楽しめるよう、引き込んでくれますよ。

なお、こちら、ビジュアル的にも素晴らしすぎて…沢渡朔さんが、ギリシア神話をモチーフに撮ったモノクローム写真１０葉が楽しめる趣向なのですが、この写真がまた、忘れられないような情感と美しさを称えているのです.:*・゜

著者のテーマに対する愛情といい、読者との距離といい…なにもかもが素敵すぎる１册です！

詩人の高橋睦郎さんが、フォアレディースシリーズ４册めで登場した『愛のギリシア神話』から１０年以上を経て、再び上梓されたギリシア神話の紹介本です。

『愛のギリシア神話』では、ギリシア神話に登場する人間の女性の生き方がとり挙げられていましたが、こちらの続編では神々がとり挙げられ、愛のかたちが考察されています。

紹介されているのは、ニュクス、アプロディーテー、ヘーラー、アテーナー、アルテミス、デーメーテール…５名の女神と、ゼウス、ディオニューソス、アポローン、ヘルメース、プロメーテウス、ヘーラクレース…５名の男神。（神々の名前は原文ママ）

『愛のギリシア神話』同様、やはり言葉の選び方１つ１つがとても丁寧で美しいです。

内容は、１章ごとの長さが充実していることもあり、読みごたえたっぷり！
常識を超えた神話の世界ですが、時に氏の解釈が加えられていたり、ギリシア神話がモチーフとなっている詩や小説、絵画、映画が紹介されていたりと、読者がギリシア神話をより身近なものとして楽しめるよう、引き込んでくれます。
また、「ぷろふいる」として、それぞれの神々のプロフィールが箇条書きの形でさっと見ることができる配慮も嬉しいところ！

ふんだんに盛り込まれた挿し絵は、小泉孝司氏が描く神々の像。鉛筆画なのでしょうか…写真のような質感で、力強さに圧倒されます☆