食と暮らしの古本屋 eclipse plus

ポンペイは、イタリア南部、青く輝くナポリ湾に面し、背後にヴェスヴィオ山がそびえるカンパニア地方沿岸部に栄えた古代都市ですが、紀元79年、ヴェスヴィオ山の大噴火によって、突如として都市全体が、6mもの高さに及んだ火山灰の下に埋没し、まるでタイムカプセルのように封じ込まれました。

その後、ブルボン家の発案により、ポンペイの本格的な発掘が始まったのは1748年のこと。古代ローマ時代の都市の様相をありありと伝える遺構として、世界遺産にも登録され、多くの人々を魅了し続けています。

ローマ帝国の植民都市として、周囲約3kmの城壁に囲まれた町は、1万人を越す人口を擁し、大噴火が起こった紀元79年当時、“町には少なくとも3つの公共浴場、2つの劇場、2万人収容の円形闘技場、一般の家屋約4000軒のほか、30軒のパン屋や数多くの居酒屋があった”とのこと。

こちらは、人間の活動に基軸を置きながら、ポンペイとその出土品を紹介することで、より快適で豊かな生活を実現するために古代人が生み出した知恵を明らかにした展覧会「世界遺産 ポンペイ展～ポンペイとポンペイに暮す人びと～」の図録です。

図版部分は、8つのカテゴリーで構成され、「タイムカプセルの扉」では、ポンペイ最後の日、発掘の歴史、「人と自然」では、自然、ひと、「住まいと都市」では、織物、粘土細工、金属製品、ガラス、木材の加工、石の加工、熱の利用、建築、水、武器、「豊かなくらし」では、漁と狩り、農業、動物の飼育、絵画の材料と技法、身だしなみ、音楽、「人びとのくらし」では、ポリビウスの家、住まい、物価と生活、食、「科学と技術」では、長さ・体積を測る道具、重さを量る道具、天文学と時計、医学、「世界の広がり」では、ポンペイの交易、そして「世界遺産ポンペイ」では、世界遺産として多くの観光客が訪れている様子などが紹介されています。

ちなみに、この図録の表紙になっている画は、個人住宅に描かれた風景画の一部を拡大したもの…このような美しい美術から、人びとの暮らしに使われていた実用的な道具まで、さまざまな視点から、古代ローマの“タイムカプセル”であるポンペイの魅力に迫った充実の１册となっていますよ…☆

• 目次
  • ごあいさつ（イタリア語原文あり）
  • メッセージ（イタリア語原文あり）レナート・ルッジェーロ　イタリア共和国外務大臣
  • 「世界遺産 ポンペイ展」～ポンペイとポンペイに暮す人びと
    …ピエトロ・ジョヴァンニ・グッツォ（イタリア語原文あり）
  • シェルターとしての都市と生活　青柳正規
  • ナポリ国立考古学博物館の歴史　ステファノ・デ・カーロ（イタリア語原文あり）
  • 古代ローマ文明博物館のポンペイ・コレクション
    …アンナ・マリア・リベラーティ（イタリア語原文あり）
  • ポンペイ遺跡について　青柳正規
  • 図版
    • タイムカプセルの扉
    • …79年の噴火（イタリア語原文あり）ジョゼッペ・ルオンゴ／アンナマリア・ペッロッタ／クラウディオ・スカルパティ
    • …ポンペイ発掘史（イタリア語原文あり）エルネスト・デ・カロリス
    • 人と自然
    • …ポンペイの人と自然（イタリア語原文あり）アンナマリア・チャラッロ
    • 住まいと都市
    • …都市と住宅　青柳正規
    • 豊かなくらし
    • …ポンペイの日常生活（イタリア語原文あり）アンナマリア・チャラッロ／エルネスト・デ・カロリス
    • 人びとのくらし
    • …「ポリビウスの家」をめぐる学際的研究（イタリア語原文あり）アンナマリア・チャラッロ
    • …「ポリビウスの家」の発掘（イタリア語原文あり）エルネスト・デ・カロリス
    • 科学と技術
    • …ポンペイの科学と技術（イタリア語原文あり）ジョヴァンニ・ディ・パスクワーレ
    • 世界の広がり
    • …世界の広がり　青柳正規
    • 世界遺産ポンペイ
  • 年表
  • 用語解説
  • 参考文献
  • イタリア語論文

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