食と暮らしの古本屋 eclipse plus

ポスターが、その最初の隆盛期を迎えたとされるのは、アール・ヌーヴォー華やかなりし1890年代のこと…この展覧会では、19世紀後半から第2次世界大戦後までのポスターの歴史を、世界史的にも激動の半世紀であった時代背景を合わせて映し出しながら辿り、314点の作品を紹介しています。

作品は、7つのカテゴリーに分けられていますが、大きく3つのパーツで観ることができます。
1つめは、ポスターの歴史。 「ポスターの登場と展開」「近代グラフィック・デザインの生成と発展」「機械礼讃と大恐慌」「新しいグラフィズムの展開／タイポグラフィーとアジトプロップ」「第２次大戦前後のポスター」と、時代を追う形で紹介されています（歴史・芸術における重要事項を記した年表付き）。両世界大戦、大恐慌‥と歴史が過酷に進みゆく最中で、表現主義、未来派、キュビズム、アールデコ、構成主義、バウハウスなど新しく生まれた芸術の変遷も辿ることができ、グラフィック・デザインの近代的な発展をも観てとることができます。
2つめは、アメリカのアーティスト・ポスター。 第2次世界大戦後のテレビの普及によって、主要な情報メディアとしてのポスターの地位が揺らぎ始めます。そのような状況の中、“新しいグラフィック・アートとしてのポスターの存在意義”を暗示するかのように現れた1960年代のアメリカの芸術家による“版画作品的なポスター”が紹介されています。
3つめは、日本のポスター。 20世紀に入ってからの日本のポスターが、時代を追って紹介されています。

掲載アーティストは、ジュール・シェレ、テオフィール・アレクサンドル・スタンラン、アンリ・ド・トゥールーズ＝ロートレック、アルフォンス・ミュシャ、ピエール・ボナール、エドワード・ペンフィールド、グスタフ・クリムト、ヨゼフ・マリア・オルブリッヒ、コロマン・モーザー、ルツィアン・ベルンハルト、ルトヴィヒ・ホールヴァイン、ジョルジュ・バルビエ、ワシリー・カンディンスキー、Ａ・Ｍ・カッサンドル、シャルル・ルポー、ヴァルター・シュナッケンベルク、ヴァンデマー・アンデルセン、エル・リシツキー、ヘルベルト・バイアー、ヤン・チヒョルト、Ｃ・Ｏ・ミュラー、ヘルベルト・マター、ジャン・カルリュ、ジョン・ハートフィールド、ベン・シャーン、ドナルド・ブリュン、ロイ・リキテンスタイン、アンディー・ウォーホル、マン・レイ、ピーター・マックス、北野恒富、町田隆要、多田北烏、杉浦悲水、里見宗次、小磯良平、山城隆一、亀倉雄策、田中一光、和田誠、福田繁雄、横尾忠則…など（敬称略）。

観たことのある有名どころの作品も盛り沢山ですが、作者不詳の作品もまた、数多く紹介されていますよ♪

なお、こちらの展覧会では会期中、“ポスターを単に展示するだけではなく、レーザーディスクによる映像を使って立体的に構成”したものが、供覧されていたとのこと！図録では巻末で、その構成を辿ることができるようになっています。

• 目次
  • 文明を映しだす鏡　ポスター　フリーダー・メリンホフ（ドイツ語の原文あり）
  • 文化の担い手, ポスター　ハインツ＝ユルゲン・クリスターン（ドイツ語の原文あり）
  • カタログ
    • ポスターの登場と展開
    • 近代グラフィック・デザインの生成と発展
    • 機械礼讃と大恐慌
    • 新しいグラフィズムの展開／タイポグラフィーとアジトプロップ
    • 第２次大戦前後のポスター
    • アメリカのアーティスト・ポスター
    • 日本のポスター
  • ポスター, その社会的な命運について　大島清次
  • 京都工芸繊維大学所蔵のポスター　コレクター浅井忠と武田五一　羽生正気
  • ドイツポスター美術館の由来　フリーダー・メリンホフ
  • 文献抄
  • インデックス
  • レーザーディスク
  • 映像に見る激動の20世紀前半史　
  • ビデオで紹介されるポスター

• 展覧会の巡回　日本橋高島屋⇒なんば高島屋