古伊万里のすべて
西日本新聞社
2001 / 30×23 / 188p
ソフトカバー
[ 商品番号 N゜ef2-2-5 ]
古伊万里は、江戸時代に興り華やかな発展を遂げた“日本で最初の磁器”で、その魅力は国内に留まることなく、海外にも輸出され、世界をも魅了してきました。
こちらは、古伊万里の収集・研究においては日本屈指の美術館である佐賀県立九州陶磁文化館の全面的な協力のもと、名品・珍品を195点、275を数える図版で紹介、古伊万里の魅力に迫った展覧会「古伊万里のすべて」展の図録です。
図版では、古伊万里の歴史が「初期伊万里」「初期色絵」「初期伊万里からの脱皮」「色絵の展開」「染付の完成」「色絵の完成と柿右衛門様式」「染付と白磁の展開」「古伊万里様式の展開」「蕎麦猪口の変遷」「江戸の暮らしとやきもの」「江戸後期の意匠」と時代を追って11のカテゴリーで紹介され、その様式美やデザインの変遷を観てとることができます。
多くの作品で、裏文様や高台銘も拝見できるよう図版が配されているのが、手にとって観ているように感じられて嬉しいですね。
ページを辿るたびに、それぞれの作品の美しさにはっとするような迫力を感じますが、全体から感じるのは、当時の人々が身の周りの自然や物事に向けていた、慈しむような視線でしょうか.:*・゜
また、斬新で遊び心に溢れたデザインの作品、兎や雪の結晶をモチーフにしたかわいらしい作品なども発見し楽しむことができたり、しどけなく寛いだ女性達とその生活の中で使われている古伊万里の描かれた浮世絵が紹介されていたりとユニークな試みもあって、江戸の昔がぐっと親しげに感じられます。
他、「古伊万里入門」では、作品を例にとり鑑賞しながら、技術や年代の見分け方、また、外国と相互に影響を与えあったことから作られた、中国磁器の写しや、マイセン磁器、ウースター磁器、デルフト磁器の写しなどとの比較や見分け方をお勉強できたりと、さらに深く作品を楽しむことができます。
「現代に生かす古伊万里の美」では、柴田御夫妻によるコレクションより、古伊万里を使った四季の食卓のコーディネートが提案されていて、その贅沢な美しさにうっとり。
端正な佇まいの図録で、レイアウトや装幀など、デザイン的にも素敵な趣きとなっていますよ。
- 目次
- 古伊万里入門 鈴田由紀夫
- 図版
- 一、初期伊万里
- 古伊万里の陶祖・李参平/村上伸之
- 二、初期色絵
- 伊万里商人・東島徳左衛門と初代柿右衛門/村上伸之
- 三、初期伊万里からの脱皮
- 伊万里焼をめぐる商人たち/武野要子
- 四、色絵の展開
- 古伊万里をアジアに売る 鄭成功とその一族/坂井隆
- 五、染付の完成
- 六、色絵の完成と柿右衛門様式
- 七、染付と白磁の展開
- 八、古伊万里様式の展開
- ヨーロッパに輸出されたIMARI/家田淳一
- 九、蕎麦猪口の変遷
- 十、江戸の暮らしとやきもの
- 十一、江戸後期の意匠
- 十二、古伊万里入門
- 十三、現代に生かす古伊万里の美
- 関連年表
- 有田散策 赤絵、染付磁器の町
- 出品リスト
- 展覧会の巡回
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