いす・100のかたち ヴィトラ・デザイン・ミュージアムの名品
ヴィトラ・デザイン・ミュージアム、読売新聞大阪本社
1997 / 30×23 / 270p
ソフトカバー
[ 商品番号 N゜ef2-2-1 ]
ヴィトラ・デザイン・ミュージアムは、1989年ドイツに設立された、世界有数の家具コレクションを誇る美術館。1800点を越えるコレクションは、1820年以降~現代までの工業生産家具を対象としており、建築家およびデザイナーによる椅子がそれらの大部分を占めているとのこと。
また、収集にあたっては、20世紀のモダニズム様式を大きな柱としており、19世紀の家具もこの視点に沿って、次代の様式への萌芽ないし準備の段階のものばかりが選ばれているとのことです。
「いす・100のかたち」展は、ミュージアムの開館5周年を記念して企画され、1995年に開催された“ 100 Masterpieces ”展の世界巡回展。
日本以前には、ベルン、ロンドン、フランクフルト、テル・アヴィヴなどで展観され、図録も独・英・仏の各国語版が発行されているなど、とても大掛かりなものです。
展示内容も記念企画展にふさわしく素晴らしいもので、コレクションの中から、椅子を中心とするエポックメーキングな作品100点が精選され、6つのカテゴリーに分け時代を追う形で、デザインにおけるモダニズムの生成と展開が探られています。
図版は、作品ごとに見開きで紹介されています。
右ページには、作品の写真。 左ページには、作品タイトル、設計者、設計年、製作年、寸法、素材、製作会社など仕様説明と、詳細な作品解説、また、スケッチやカタログ・広告など当時のさまざまなヴィジュアル資料が掲載され、とても読みごたえのある充実した紹介となっています。
興味深いのは、仕様説明の右横に配された小さな図版!この図録中から“歴史的、形態的、そして技術的観点から比較対照する価値のある”作品が選ばれ、参照できるようになっているとのことで、図録を観る楽しみに新たな拡がりを提供してくれていますよ。
なお、図録を彩っている写真はもちろんなのですが、また、こちらの図録は本自体も、装幀、レイアウト、目次と呼応した視覚的にキャッチーな色の使い方など、ヴィジュアル的にも素晴らしく、デザインを紹介している本らしい素敵さに溢れた魅力的な1册となっています。
- 目次
- まえがき アレクサンダー・フォン・フェーガザック ヴィトラ・デザイン・ミュージアム館長
- 日本語版序文 「モダン・デザインの風土」藤田治彦
- 序論 クリストファー・ウィルク ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館、ロンドン家具木工部門学芸員
- 図版
- テクノロジー 技術をかたちに
- コンストラクション 構造と構成
- リダクション 極限を求めて
- オーガニック・デザイン 有機的な造形
- デコレーション 装飾の諸相
- マニフェスト 理念の表現
- 注
- デザイナー・プロフィール
- 主要参考文献
- 写真クレジット
- 展覧会の巡回
- 茨城県つくば美術館⇒北海道立旭川美術館⇒丸亀市猪熊弦一郎現代美術館⇒国立国際美術館⇒豊田市美術館⇒埼玉県立近代美術館