ポンペイの壁画展 2000年の眠りから甦る古代ローマの美
「ポンペイの壁画展」日本展実行委員会
現代彫刻センター
1997 / 27×23 / 217p
ソフトカバー
[ 商品番号 N゜ef2-11-2 ]
ポンペイは、イタリア南部、青く輝くナポリ湾に面し、背後にヴェスヴィオ山がそびえるカンパニア地方沿岸部に栄えた古代都市ですが、紀元79年、ヴェスヴィオ山の大噴火によって、突如として都市全体が、6mもの高さに及んだ火山灰の下に埋没しました。
その後、ブルボン家の発案により、ポンペイの本格的な発掘が始まったのは1748年のこと。古代ローマ時代の都市の様相をありありと伝える遺構として、世界遺産にも登録され、多くの人々を魅了し続けています。
こちらは、そのポンペイの出土品の中でも特に、家々の壁に描かれていた色彩豊かな“室内装飾としての壁画”の意義にスポットを当て、様式の変遷やモチーフの豊かさを紹介した展覧会「ポンペイの壁画展 2000年の眠りから甦る古代ローマの美」の図録です。
紀元前2世紀に地中海の覇者となったローマ人は、ギリシア・ヘレニズム絵画の遺産を継承しつつも、それを統合する独自の壁面装飾法を創り上げ、別荘や邸宅の室内を、人生をより豊かで貴いものとするような美しい美術で彩りました。
カタログ部分は、2部構成となっていて…
I では、[クリプトポルティコの家]、[トッレ・デル・グレコ、ソラ地区の海浜別荘]、[カルミアーノの農園別荘]、[ムレチーネの建造物]、[ポンペイ近郊の通称アセリウスの農園別荘]、[ペトラーロの農園別荘]
II では、[憧れの風景]、[庭園画]、[モチーフとしての建築]、[生活の情景]、[さまざまな人像]、[風俗絵画]、[静物]、[肖像]、[神話の場面] とカテゴリーごとに紹介され、美しい図版と共に、壁画の意匠の詳細なスケッチを含む説明を参照することができます。
展示された貴重な壁画や漆喰浮彫は153点、その中には、全長10mに及ぶ大壁面や別荘の一室分の壁画も含まれ、古代ローマの人々の美的生活の遺構に大規模なスケールで臨むことができた展覧会だったようです。 寄せられた文章もとても充実していて、図録も大満足の1册となっていますよ…☆
- 目次
- ポンペイ概観[ピエトロ・ジョヴァンニ・グッツォ](イタリア語原文あり)
- ヘレニズム・ローマ絵画に占めるポンペイ絵画の位置[青柳正規](イタリア語原文あり)
- 都市の行政と公共生活[アントニオ・ヴァローネ](イタリア語原文あり)
- カタログ
- 用語解説
- ポンペイ壁画第1様式[カテリーナ・チチレッリ]
- ポンペイ壁画第2様式[グレーテ・ステファーニ]
- ポンペイ壁画第3様式[アントニオ・ダンブロシオ]
- ポンペイ壁画第4様式[エルネスト・デ・カロリス]
- 庭園画[マリーザ・マストロロベルト]
- 民衆絵画[エルネスト・デ・カロリス]
- ポンペイ壁画の技法と修復[マリオ・パガーノ/アンナマリア・チャラッロ]
- ある神話の誕生――日本使節団とポンペイ(1871-1900年)[ジーナ・カルラ・アシオーネ](イタリア語原文あり)
- 文献目録
- 展覧会の巡回 横浜美術館⇒福岡市美術館