メルヘン・エキスポ 世界の絵本・童話展
朝日新聞社
1986 / 28×22 / 96p
ソフトカバー
[ 商品番号 N゜ef2-1-4 ]
カナダのトロント公共図書館所蔵のオズボーン・コレクションから、“子どもの本の歴史上かかすことのできない資料類200点を厳選”、イギリスを中心に子どもの本の歴史の歩みを辿った展覧会の図録です。
1455年、活版印刷術の発明により、有名な最初の活字本『グーテンベルクの聖書』が出版されますが、子どもの本の歴史も同じく絵入り聖書から始まります。
18世紀後半には、楽しませながら子どもに教育と知識を与えようと創意工夫が見られるようになり、19世紀に入ると“子ども時代”という概念の誕生とあいまって、子どもの本は子どもの時にしか味わえない読書の楽しみそのものを目的として、積極的に出版されるようになります。
紹介されているのは、コメニウス『世界図絵』や、ホーンブックとバトルドーから始まったABC絵本、文法や算数・地理など「教育や知識の本」、『ロビンソン・クルーソー』や『ガリバー旅行記』のように大人の本が子ども向けの縮刷版となって波及した「子ども部屋に入った大人の本」、シャルル・ペローやグリム兄弟、アンデルセンによって編纂された昔話やマザーグースなど「昔話とメルヘン」、また、出版・編集・印刷技術への貢献から絵本文化を支えた人物として、トマス・ボーマンとジョン・ニューベリ、ジョン・ハリス、エドマンド・エバンズ、また、絵本において単なる挿絵画家を越えた存在となったイラストレーターとして、ウォルター・クレイン、ランドルフ・コールデコット、ケイト・グリーナウェイ、ビアトリクス・ポター、フローレンス・アプトン、ヘレン・バンナーマン、ウィリアム・ニコルソン、フランシス・ベッドフォード、エルマー・ボイド・スミス(‥敬称略)が大きく取り上げられています。
他、ファンタジーの飛躍と児童文学における美装幀本の導入(ページ見開きでずらっと並んでいる図版は圧巻!)、“キャロルとアリス”についてや、さまざまな仕掛け絵本の紹介 etc...♪
展覧会の構成自体も、分かりやすくカテゴリにまとめられつつ時代を追って観ることができるので、とても親切な創りとなっていますが、またこちらの図録が素晴らしいです。例えば、文中、図版で紹介されている本のタイトル文字が太字になっていて見やすかったり、文章にこまめに見出しが付いていたり。
図版も、大きさや配置にさまざまな工夫が感じられ、かなりの数が美しく堪能できる形で掲載されていますよ.:*・゜
- 目次
- ごあいさつ/朝日新聞社
- 日本のみなさまへ/マーガレット・マローニー
- 文化のふるさと/安野光雅
- 子どものための本の響宴/吉田新一
- 1、子どもの本のあけぼの
- 2、教育と知識の絵本
- 3、子ども部屋に入った大人の本
- 4、昔話とメルヘン
- 5、絵本の成立
- 6、3人の絵本作家
- 7、児童文学とファンタジー
- 8、キャロルとアリス
- 9、ポターと20世紀絵本のはじまり
- 〈付〉さまざまな仕掛け本
- エッセイ
- 池内紀/あらゆる時代の若い人々のための物語
- 大庭みな子/絵本
- 落合恵子/絵を読む――絵本に年齢制限はない
- 八木田宣子/こっけい猫君に会えるよろこび
- 高山宏/「絵」の効用
- 展示リスト(英語併記)
- 展覧会の巡回
- 東京・銀座松屋⇒東京・まちだ東急