食と暮らしの古本屋 eclipse plus

雑誌「挿花」に連載された物語に、さらにもう１章がつけ加えられ上梓された、今江祥智さん×宇野亜喜良さんのゴールデンコンビによる１冊です。

結婚２年めの記念日だから、２つ贈り物をしようと考えた愛妻家の恭は、冬薔薇の花束のなかにアビシニアンの仔猫をそっと入れて、奥さんにプレゼントします。
仔猫から薔薇の香りがしたことから、仔猫は“薔薇猫ちゃん”と名付けられ、奥さんから溢れんばかりの愛情をもらってすくすくと育っていって…。

とっても仲良しな夫婦＋猫の愛情溢れる日々が描かれた、読んでいるとニコニコしてしまうような可愛らしいお話です♪

生花の雑誌に連載されたお話ということもあってか、冬薔薇、土筆、山椒、蛇苺、現の証拠、ルピナス、撫子、グラジオラス、金木犀... と、お話のそこかしこに四季折々の草花が織り込まれていて、季節の移り変わりが豊かに感じられ、季節の移り変わりと共に、夫婦がそれぞれ自分の可能性を発見していく成長物語としても愉しめます。

“薔薇猫ちゃん”はもちろん、食いしん坊でお料理好きな奥さんもとても可愛らしくて、奥さんはミステリーの翻訳家という設定のため、お話にはほんのりミステリー風味の味付けもされていて、洒落ています。

夫婦の暮らしの中に漂う草花の香り、“薔薇猫ちゃん”のふんわりとした温もり、そして夫婦の愛情が、せちがない現代に暮らす心に、優しさと温かさをもたらしてくれるような、そんな読み心地となっていますよ♪

宇野亜喜良さんの挿絵も、カラーで11葉、モノクロームで1葉愉しめ、とても素敵♪
どうぞご堪能ください♪