ママ・アイ ラブ ユー

ママ・アイ ラブ ユー

W・サローヤン *著
岸田今日子・内藤誠 *訳
黒井健 *カバー
新潮社装幀室 *デザイン
新潮文庫
昭和62年初版・平成7年.12刷 / 文庫サイズ / 341p
ソフトカバー
[ 商品番号 N゜e3-9 ]

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ママ・ガールとキラキラヒメ、すてき母娘2人組が、ママ・ガールの夢を追ってニューヨークへ出発!
ホテル暮らしなど、ぎゅっと心を掴まれてしまう設定と、それからなんといっても、ママ・ガールとキラキラヒメの会話が楽しい作品!

あとがきで内藤誠氏が、特に少女の話し言葉の訳における岸田今日子さんの活躍を挙げてらっしゃいますが、本当に生き生きとしていて素敵な名訳です♪
少女の愛称 Twink のキラキラヒメという訳も、想い返すほどに素晴らしいですよね!一人称が‘わたし’でなく‘あたし’なところも気分だったりします。

お話の筋としては、幾分ご都合主義でふわふわとして頼りないようなところもあるのですが、キラキラヒメがスケッチ風に報告してくれる素敵な日々は、関わり合う人たちが交わす優しい言葉だったり、理解だったり、必要としたりされたりの積み重ねなので、そういうディテールをまず心ゆくまで楽しむのが素敵!時に鋭いキラキラヒメの人間観察を楽しむのも一興です♪

また、キラキラヒメは、かの名作『ライ麦畑でつかまえて』のさまよえる主人公・ホールデン君の素敵な妹・フィービー嬢を想わせるところがあるのですが、同じくサリンジャー氏の作品に出てくる登場人物で言うとミュリエル(シーモアの奥さん)タイプのママ・ガールをはじめ、大人になりきれないグラディスなど、キラキラヒメくらいの年齢の時には何だって分かってるように思えた‘オトナ’たちだって、実は君たちとそんなには変わらないところもあるんだよ…ということを優しく伝えてくれるような、ちょっと甘口の人生論にもなっています。ちなみにサローヤン氏は、この本を愛娘のルーシーちゃんに捧げていますよ.:*・゜

とにもかくにも愛すべき作品なのですが、ラストはもちろん、全32章のうち8章までもが眠りにつく場面で終わっているところも、ほっと甘い余韻を遺して、安らかで心地良い読み心地です。
そして、しっかり食べて、ちゃんと休む…ママ・ガールとキラキラヒメが波瀾万丈な暮らしの中、事あるごとに心掛けるこの姿勢が、微笑ましくも真っ当で、大変な時や辛い時、何度でも読み返したくなってしまう1册となっていますよ。

Information

出版社品切れ または絶版 となっています >2018年6月現在

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