羊と樅の木の人々 マラムレシュ写真集 TRANSYLVANIA抒情
みやこうせい *写真*文
未知谷
2007年6月初版 / 22×16 / 160p
ハードカバー
[ 商品番号 N゜e2-3-6-1 ]
shopへ行く
ルーマニアの北北西に位置するマラムレシュは、三方を山に囲まれ、古い風俗、習慣が未だ色濃く遺された地…
1965年に日本人としてはじめてマラムレシュを訪れ、“ここには何か人をひきつけて止まない深い意味を秘めた「あるもの」がうごめいている”と直感して以来、マラムレシュに魅了され、100回以上通い続けてらっしゃるみやこうせいさんが、1万枚を超えるフィルムから選び抜いた写真でマラムレシュの人々の暮らしを伝えてくれた写真集です。
日々の仕事と共に在る暮らしの情景を中心に、ミサ、お祭りやカーニヴァル、結婚式などの晴れの日や、家族写真、風景写真 etc... モノクロームで撮影された写真は、現代の情景とは思えないほど牧歌的で、衣食住の全てに羊と樅の木の恩恵を受けた自給自足の暮らしを伝えてくれます。
ふくふくとしたほっぺたの生き生きとした子どもたち、ティーンエイジャーのはにかんだ微笑み、働く手と足、年月と共に刻まれた皺、神様を信じる心、家族のような距離感で羊と触れ合う情景、羊毛で紡がれたもこもこと暖かそうな服装、木彫りで装飾された家や布の織りなど東欧のフォークロア...
眺めていると、不思議に懐かしい郷愁を憶えるのは、その暮らしが人の暮らしの原風景だからでしょうか.:*・゜
モノクロームで撮影されているところがまた素敵で、みやさんのおっしゃる通り、“みずみずしい”という表現がぴったり!
そこにない色を心の眼で辿るうちに、自らの心の風景もが映し出され感じられるような気がします。
映画を観るときのように時間をたっぷり用意して…
どうぞごゆっくりご堪能ください.:*・゜
The key to the treasure is the treasure
何といっても人間である。ルーマニアの農牧民に会うと、にんげーん!と大声で呼びたくなる。会うや否や友人となり、そこの家族の一員となってしまう。(中略)二、三日、招かれた家に滞在して、出発しようとすると、家の人が本気で止めにかかり、涙を流したりするのである。この人たちが保っている風習や気質は、ヨーロッパの他の土地とくらべて実に独特である。熱い心情の人たちである。あの人たちは、羊を飼い、樅の木の家に住み、人として人らしく人のように生きている。人を見れば自分のことのように気づかい世話をしてくれる。人がかなしんでいると一緒にかなしみ、泣いてくれる。うれしい時にもかなしい時にも男でさえ手放しで泣いたり、哄笑する原石のような人々。
Information