The key to the treasure is the treasure
“Tales from the Night Rainbow”は1816年生まれのある女性ハワイアンによる口述を本にまとめたものだ。はじめのほうで、彼女の家に先祖から伝わるある話を紹介していた。「どの子どもも完璧な光で満たされたボウルを持って生まれる。その気になれば光はさらに輝きを増し、サメと泳いだり鳥といっしょに空を飛んだり、どんなことでも理解できるようになる。ただ、嫉妬や妬みをもつようになると、石ころをボウルに入れていくことになり、やがて光は消えていき、しまいにはその子は石になってしまうだろう。でも、もし石でいることが嫌になったなら、いつでもボウルをひっくり返しさえすればまた光を輝かせることができるのだ…。」
祝福の夜の虹との出会いは、必ずしも大自然の中とは限らない。あるときは民家のある海辺だったり、あるときは車の走る道端だったり…。そんなところで興奮して撮影しながら、虹の出ているわきを何も知らずに車で通り過ぎて行く人や、虹の下にある家の中でそれに気づかずに過ごしている人を見ながら、ふと思った。誰もが本当は完璧な光のボウルを持って、祝福されて生まれてきているのではないか、もしかしたら僕らはただそれに気がついていないだけなのでは…と。
巻末の「あとがき」より